阪本薬品工業、高機能なオイル増粘ゲル化剤を提案

粧業日報 2022年6月8日号 4ページ

阪本薬品工業、高機能なオイル増粘ゲル化剤を提案
 天然グリセリンの専業メーカーとして知られる阪本薬品工業は、高いゲル化性能と増粘性能を両立するオイル増粘ゲル化剤「SフェイスBED-102」が今春、表示名称(ペンタ(ベヘン酸/エイコサン二酸)ポリグリセリル-10)を取得したことから、改めて提案に注力している。

 口紅やリップグロスなどの油性化粧料には、剤形の安定性向上や感触改良のためオイル増粘ゲル化剤が配合される。オイルゲルは、ゲル化に優れる一方でもろいのが特徴のワックスゲルと、粘性に優れるが硬度の低いオルガノゲルの2種類に大別される。どちらのゲルにも長所と短所があり、増粘機構が異なるゲル化と増粘の特徴を両立するのは困難とされていた。

 そこで、同社では柔軟な構造を持つポリグリセリンと結晶性のある脂肪酸を原料とすることで、ゲル化性能と増粘性能の双方に優れる「SフェイスBED-102」を開発し、昨年のCITE JAPAN 2021にて初披露した。

 SフェイスBED-102は、ベヘン酸とカルボキシ基を両末端に持つ二塩基酸のエイコサン二酸を反応させて得られるエステルで、室温で固体(フレーク状)のため、ハンドリング性が良好だ。低分子量の油剤や非極性の油剤など、比較的ゲル化しにくい油剤においても固化させることが可能で、低極性から高極性の油剤まで幅広い油剤に対して固いゲルが形成できる。さらに、同原料を配合したオイルゲルは、50℃で形状を保持できることを確認しており、高温安定性にも優れている。

 「SフェイスBED-102は油性のメークアップ化粧料をはじめ、クレンジングにも最適だ。極めて安全性の高い点が支持され、グリセリンやポリグリセリン誘導体の引き合いは全般的に増えてきている。最近では口紅用液状油剤の『IS-1009P』が今年に入り、欧米を中心に受注を伸ばしている。当社としては、今後もさらなる生産量の拡大を目指し、設備増強に順次努めていきたい」(同社)
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