昭和電工(本社=東京)の機能性化学品事業部は、様々な環境ストレスによる肌ダメージをケアするイノシトール誘導体「Moistol(モイストール)」を新たに開発し、2021年10月よりマルチアクティブな新規原料として販売を開始している。
セミナーでは、同事業部で特殊化学品部 パーソナルケアグループの森田桐子氏が登壇し、「Moistol」に確認された多機能性能について、データを提示しながら説明した。最後には、最新の研究成果として「withコロナ」ニーズに対応する新規データも紹介した。
機能性化学品事業部は、スキンケア向けの機能性原料として、ビタミンC誘導体(アスコルビン酸PM,PS、アプレシエ)、ビタミンE誘導体(TPNa)、ビタミンP誘導体のメチルヘスペリジン、そして新規原料「Moistol」を合わせて、6つの製品の製造販売を行っている。全ての製品に、顧客の商品企画・開発に活かせるよう、生理機能と物性・処方情報を付与している。
新規原料である「Moistol」は、イノシトールにオリゴ糖を付加させた糖誘導体で、肌への保湿効果や抗炎症効果、アンチポリューション効果、抗老化効果が期待でき、乾燥・敏感肌向けの保湿ケアや外環境対応型化粧品、UVケア、アンチエイジングなど様々な商品企画に使用が可能だ。
「Moistol」は、水溶性原料のため、化粧水からオールインワンジェル、乳液、美容液など様々なスキンケア剤型への配合が可能であり、同社はそれら処方の製剤サンプルの提供も行っている。
セミナーでは、「Moistol」に確認された様々な研究データが紹介された。
まず、保湿効果試験では、表皮細胞において、Moistol添加により濃度依存的にセラミドの産生を増加する働きが確認され、その効果はイノシトールよりも有意に高いことが認められた(表1)。
また、肌の経表皮水分蒸散量(水分ロス量)を確認した試験では、Moistol添加により、濃度依存的に水分ロスを抑制することもわかった。
以上から、「Moistol」は、肌の保湿に重要なセラミドの量を増やしてバリア機能を向上させ、水分ロスを抑制することにより、保湿効果が期待できる。
Moistolを用いたヒトでの保湿臨床試験においても、同様の効果が認められており、Moistolは肌の内側から保湿効果を促進する原料であることが証明されている。
35~49歳の男女27名に、1%Moistol配合ローションおよびプラセボ剤を1日2回、8週間にわたって半顔に塗布し、頬部の水分量と経表皮水分蒸散量(水分ロス量)を計測した。
連用塗布4週間後から、Moistol配合ローションを塗布した肌は角層の水分量が増加し、また、水分ロス量が抑制されることが確認された。また、8週間連用後、テープストリッピング法で頬部の角層を採取し、解析したところ、多重剥離部分が減少し、乾燥による肌荒れを改善する効果が確認された。