ホシケミカルズ、容器・OEM・原料のトータルで環境配慮を推進

C&T 2022年9月15日号 14ページ

ホシケミカルズ、容器・OEM・原料のトータルで環境配慮を推進
 化粧品原料商社として1975年に創業し、OEMや容器製造なども手がけるホシケミカルズでは、化粧品製造の全てをワンストップで網羅するモノづくり企業としての強みを活かし、環境配慮をテーマとした化粧品づくりにおいて容器・パッケージや原料の選定、企画開発・製造に至るまで多方面からサポートしている。

 容器に関しては、中身(バルク)との相性(安定性や経時)やコスト面などOEMの視点も踏まえて柔軟にクライアントのリクエストに応えられるよう、国内外の容器メーカーとの連携を活かして取扱容器の選択肢を広げることを第一としている。

 同社では現在、容器本体を繰り返し使用する化粧品OEM製品で詰め替え用パウチの採用が広がり、プラスチック使用量の削減につながっているという。また、物流時の環境負荷軽減を目的に、レターパックでの配送を希望するクライアントが増えていることから、紙パッケージの採用が広がっているようだ。

 このほか、ガラス瓶や植物性・生分解性プラスチック、バイオマス、陶器などのプラスチック代替容器をはじめ、包装箱の過剰包装を見直し、シュリンクフィルム包装から封印ラベル対応へのシフトも進んでいる。

 新たな取扱容器では、表面素材を紙に置き換えることでプラスチック使用量を削減する「環境配慮型パウチ」が、紙の風合いで視覚的にも優しい印象やナチュラルさがトータルで演出できるといったメリットから、OEM製品で採用が広がっているという。

 「環境配慮に対応した容器は、比較的新しい素材が多いため、中身との相性を確認しながら慎重に進めている。そうした中でも、表面のみ加工したパウチは中身に影響を与えにくいため取り入れやすく、引き合いが多い」(企画開発室広報主任 平地祥子氏)



 OEMにおける環境配慮の取り組みでは、低煤塵・低空気比・低NOx(窒素酸化物)設計による環境にやさしい「環境配慮型ボイラー」を導入している。

 化粧品の中身を製造する際、バルクを加温・冷却・保温する工程が発生する。同社の工場では、灯油を使用してボイラーで蒸気を発生させ、その蒸気を化粧品製造の釜のジャケット(釜の外側と内側の間にある隙間)に送り込み、バルクを温めている。

 環境配慮型ボイラーは、季節による外気温の変化に伴い、給気温度が変化しても、搭載されたインバータによって回転数を制御し、適正なO₂量を維持する。

 これにより、安定した燃焼状態を確保して効率化とクリーンな排ガスを実現し、高効率のエネルギー化で地球温暖化防止に貢献するという。



 「工場ではこのほか、水などの液体でバルクの温度を冷却する循環装置として、水冷式の『チラー』を導入している。高機能モジュールコントローラーが外気温度の変化に合わせて設定水温を自動変更し、外気負荷の増減に合わせた省エネルギーな運転が可能だ」(平地氏)

 原料に関しては、商社機能を活かして全国各地に点在するサスティナブルな原料を産地から表示名称、アップサイクルのストーリー(活動)、主な効能効果、メーカーを一覧化した「国産サスティナブル原料MAP」を新たに作成し、OEMのクライアントに向けてサスティナブルな原料を用いたクリーンビューティ製品の開発ヒントとなるツールとして活用を進めていく。

 環境対策につながる企業としての取り組みでは、人為的なミスによる廃棄ロスの低減を最大の目的として、業務の効率性や正確性を高めるべく、来春に向けて新たな秤量・生産管理システムを導入する。

 新システムでは、原料1つひとつをQRコードで管理することにより、作業指示、計量作業、実績の記録、集計などを行うトレース管理が可能で、秤量時の量や種類の間違い、投入漏れ等を防止できる。

 「今回の新たな生産管理システムの導入に合わせて、既存の研究開発システムとも連携する方向で調整を進めている。これにより、工場が保有する原料の在庫情報が自動的にシステムへと反映され、それをもとに製品開発を行うことで過剰在庫や廃棄が低減できると期待している」(平地氏)
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