グラセル、環境・サステナブルをテーマに化粧品容器開発を推進

週刊粧業 2023年1月1日号 77ページ

カンタンに言うと

  • 容器リサイクル事業は23年春に本格始動、環境対応の基盤強化
  • 詰め替えやゴミの分別廃棄も簡単な容器を開発、育毛剤向けの新製品も
グラセル、環境・サステナブルをテーマに化粧品容器開発を推進
 化粧品容器会社大手のグラセル(本社=大阪)は、環境・サステナブルをテーマにした容器の開発を推進しており、「第13回 化粧品開発展 東京」では、新製品を含む持続可能な化粧品容器を展示する。

 ブース内には、ツバキスタイル社(本社=東京)と協動で取り組むビューティクル社(本社=東京)の化粧品・トイレタリー容器の水平型リサイクルシステム「BEAUTYCLE ボトルtoボトル」のコーナーも設ける。BEAUTYCLE事業は2023年春の本格始動を予定している。

 事業開始に向けて、コーナーでは、水平型の仕組みやリサイクル工場の設備などを紹介し、賛同企業を募っていく。

容器リサイクル事業は23年春に
本格始動、環境対応の基盤強化

 グラセルは、化粧品容器の金型保有数・取扱点数で業界トップクラスを誇る。同社の谷村会長は、「化粧品容器は『機能性』と『デザイン性』が重視されてきたが、ここに『環境・エコ』を加えた3つの価値に対応した容器が求められてきている」と話し、環境にやさしい化粧品容器でも業界をリードしていく考えを示している。

 「近い将来、環境にやさしい製品であることが当たり前の世の中になるが、今はまだ付加価値として提案している段階にある。地球環境に配慮した容器のバリエーションを増やし、高付加価値な化粧品開発に貢献していきたい」(谷村会長)

 環境対応の中核事業に位置づけるBEAUTYCLE事業は、23年春頃を目途に本格的にスタートする。グラセルとツバキスタイルが供給した化粧品・トイレタリーのプラスチック容器を回収し、専用リサイクル工場(佐賀県)にて、同じ用途でトレーサビリティのできる新品のプラスチック容器に生まれ変わらせる。

 リサイクル工場には、食品包装用途としてFDA(アメリカ食品医薬品局)から世界で初めて認可を受けたEREMA社製の機械を導入し、食品にも使用可能な安全性の高いリサイクル樹脂を生産する。

 また、化粧品・トイレタリー容器の製造工程で発生する中間材料もリサイクル樹脂として再利用する。谷村会長は、「プラスチックの使用量を必要最小限に抑えることも環境価値であることを提案していきたい」と述べ、これまで廃棄されてきた中間材料を再利用する取り組みへの理解を業界全体に広げていく考えだ。

 既にEC・通販事業者を中心に、BEAUTYCLEの活用を表明する企業が出てきている。

 「検討段階だが、関心を持って話を聞いてくださる企業は多く、取り組む価値のある事業だという実感はある。工場見学も取り入れながら、容器リサイクルへの理解を深めていきたい」(谷村会長)

詰め替えやゴミの分別廃棄も簡単な
容器を開発、育毛剤向けの新製品も

 新製品開発の手を緩めない。機能性とデザイン性、環境・エコの3点を追求した新製品の開発を強化している。

 谷村会長は、「韓国や中国を中心に海外製容器も魅力のあるものが増えてきており、取扱品目を増やして提案を強化していく」とした上で、「日本の技術だからこそ実現できる容器もまだまだたくさん存在する。日本独自の容器に関しては、国内にとどまらず、海外にも広く紹介していきたいと思っている」と述べ、日本製容器の海外展開にも意欲を示している。

 展示会場でも、日本の高い技術を用いた新製品を中心に紹介する。

 スキンケア容器の新製品では、詰め替えやゴミ分別の際のストレスに着目した詰め替え・リフィル対応ボトル「RECY(レシー)」をプッシュする。

 現在、スキンケアボトルの中栓は、差し込み式が主流だが、取り外しにくく、使い終わった後にゴミとして分別する際に手間がかかる。

 そこで同社は、取り外しが容易なネジ式の中栓を開発した。中栓を外して、詰め替えしやすい形状となっている。また、胴径を太くすることで、詰め替え時の安定性も追求している。環境・エコの面では、ボトルと専用キャップがエコ原料対応可能なので、選択するとより環境に配慮することも可能だ。

 ヘアケア容器からは、先端吐出部に柔らかなシリコンを採用した育毛剤・スカルプケア向けの中栓と専用キャップ「IKUMO(イクモ)」を新たに開発。シリコン製の先端吐出部は、地肌に直接つけて押すとスリットが開いて吐出する。シリコン製吐出部はスリットの本数と深さ変更が可能で、液体から粘性のあるものまで吐出量の調整が可能だ。(写真参照

 先行して一部のOEMメーカーに紹介を進めたところ、既に中身・処方の開発を進める企業もあり、評価は上々だ。

 「育毛剤以外にも、頭皮のニオイケアなどヘアリフレッシュナーに使いたいなどの意見もいただけている。そうしたお客様の意見や要望は新製品開発の源泉になっている。また、第一精工舎と協働でベースレジンに様々な原料をブレンドできるフリーブレンドにも注力する。環境材はもちろん、金属や陶器など従来はブレンドできないものも対応できるので製品展開も広がる。詳しくは展示会場で直に見ていただきたい」(化粧品容器企画担当者)
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