ニッコールグループのニコダームリサーチは、化粧品・医薬品などの安全性や有効性を、原料から完成品まで幅広く評価する。最近では、ターンオーバー評価や経皮吸収試験、育毛評価のほか、マイクロバイオーム関連の問い合わせも増えているという。
引き続きニーズの高い美白試験については、in vitroでの試験試料のメラニン合成抑制作用のスクリーニングや作用期序の解明から、in vivoにおけるヒト使用試験まで提供でき、段階的に美白効果成分の開発を行うことが可能だ。
ヒト使用試験では、色素沈着(シミ)を有するボランティアや、紫外線によって人工的に作成した色素沈着に対し、試験試料の塗布による色素沈着の抑制作用を評価する。人工的に作成した色素沈着に対する抑制作用評価では、ソーラーシミュレーターにより人工的に色素沈着部位を作成(図1)し、試験試料の長期使用による色素沈着の改善を評価する。評価方法としては、皮膚色の測定や熟練評価者または皮膚科専門医による目視判定がある。
シミを有するボランティアに対する色素沈着抑制作用評価では、シミを有するボランティアが試験試料を長期使用し、皮膚色の測定や熟練評価者または皮膚科専門医による目視判定により試験試料の色素沈着抑制作用を評価する。
なお、画像撮影装置を用いたシミの評価では、VISIA Evolutionを用いた顔面のシミの個数や隠れジミの個数の評価から、複数の波長のLED光の照射から得られる光学的な評価なども可能である。
需要が回復しつつあるサンスクリーン関連では、耐水性試験やSPF/PA測定試験を提供している。
また、同社はEPISKIN社の日本代理店として、三次元組織モデルの販売を行っており(図2)、表皮や歯肉上皮、口腔粘膜、角膜上皮や膣粘膜など、幅広くラインナップしている。
中でも、成人ヒト表皮細胞をポリカーボネートフィルター上に培養して作製した「SkinEthic RHE」(SkinEthicはEPISKIN社の登録商標)については、OECDにおいて皮膚一次刺激性試験の代替法として認証されている(OECD TG439)。さらに、SkinEthic RHEを皮膚刺激性試験(OECD TG439)の実施を目的に購入する場合に必要なトレーニングも提供している。
同社の強みは、様々な試験機関と連携することで、多様な顧客ニーズに対応できることだ。実施したい試験が明確でない場合にも、例えばパッケージに訴求したい内容など、ヒアリングを進めていき、ニーズに合った最適な試験を提案することができる。
「安全性試験はガイドラインに従った方法のもと各試験機関で行われるが、クライアントが持ち込む試験対象の物質については、物性や剤形がそれぞれ異なるため、試験製剤の濃度の検討をはじめ、最適な試験を実施するためのサポートも行う」(同社)
そのほか、原料の新たな可能性を探究する「DNA マイクロアレイ」を提供している(図3)。通常のDNAマイクロアレイでは、一度に数千から数万の遺伝子の発現を網羅的に調べることができるものの、データを考察することは非常に困難である。
同社では、皮膚に関連する約180の遺伝子に特化し、機能別に遺伝子セットを設定したDNAマイクロアレイを用いて、一度に多くの皮膚機能につながる遺伝子発現を網羅的に解析できるため、費用・リードタイムを圧縮して開発をサポートする。
「既存原料の新たな可能性を掘り起こすことは、開発費の削減はもちろん、長期的な目で見るとSDGs的な側面にもつながっていくのではないか。DNAマイクロアレイ自体は昔から知られているが、皮膚に関連した遺伝子に特化することで、リーズナブルな価格で原料の機能解析ができる」(同社)
セミナーも随時開催しており、2月13日に実施したセミナーでは、大きく動く中国化粧品市場における効能評価の位置づけとその内容のほか、薬事申請における登録・届出に必要な情報や手続きについて説明し、約200名もの参加があったという。
「評価試験を専門とする当社のほか、メーカー・商社機能をもつ日光ケミカルズと、高度な分散技術をもつKOBOディスパティックがそれぞれの分野で培った技術や知見は、グループ全体にも活きている。なお、今後は抜け毛防止の評価試験の内容をさらに充実させたいと考えており、トレンドのウェルビーイングにつながるリラックス作用評価試験についても研究を進めていきたい」(同社)