化粧品原料商社として1975年に創業し、OEMや容器製造なども手がけるホシケミカルズでは、美白・サンケア原料のカテゴリーにおいて、ヒト幹細胞培養液を日本で初めて上市したアンチエイジング社が提供し、化粧品の成分表示にエクソソームが表示できるヒト幹細胞培養液原料「RS Liposome 3.0E Complex」の提案に注力している。
アンチエイジング社では、ヒト幹細胞培養液「RemyStem」をリポソーム化して浸透性を高めた「RS Liposome 3.0」に、浸透型ペプチドビタミンC誘導体「Pentide-C」を組み合わせた「RS Liposome 3.0 Complex」が、幅広い機能性とコストのバランスが取れたヒト幹細胞培養液として高い評価を得ており、同社の数あるラインナップの中で最も売れ筋となっているという。
このRS Liposome 3.0 Complexに濃縮エクソソームを後から添加することで、化粧品の成分表示に「ヒト脂肪由来間葉系細胞エクソソーム」を表示することができるようになったのが、RS Liposome 3.0E Complexだ。
濃縮エクソソームの添加により、RS Liposome 3.0E Complexに含まれるエクソソーム量はRS Liposome 3.0 Complexと比較して約2倍となり、さらに商品性を高めた。
「アンチエイジング社が扱うヒト幹細胞培養液は、ローリングボトル法と呼ばれる、幹細胞にとって特殊な培養法で製造している。これにより、エクソソームやサイトカインの分泌を促し、一般的なフラスコなどの培養法と比較して有効成分を大量に含む幹細胞培養液の製造を可能とした。実際に、同社のヒト幹細胞培養液『RemyStem』には、通常の培養法と比べてタンパク質やエクソソームが約10倍も含まれており、濃縮エクソソームを添加したRS Liposome 3.0E Complexには、エクソソーム自体をより確実に肌内部へと浸透させる効果が期待される」(伊東大輔営業推進部原料営業グループ係長)
ビタミンCには、チロシナーゼの阻害などの働きで、メラニンの生成を抑制する作用がある。一方、ヒト幹細胞培養液にもメラニンの抑制作用がある。
実際に、メラニン生成細胞をα-MSHで刺激してメラニンを放出させ、そこにそれぞれ浸透型ペプチドビタミンC誘導体のPentide-Cと、ヒト幹細胞培養液のRemyStemを添加すると、どちらもメラニンの生成を抑制した。この結果から、両原料を組み合わせたRS Liposome 3.0 ComplexとRS Liposome 3.0E Complexには、優れた美白効果が期待される。
メラニン抑制のデータに関してはこのほか、ヒト臨床試験を行い、Pentide-Cのシワと明るさ、メラニン指数による効果を確認した。被験者は24名で、被験物質(Pentide-Cの主成分:アスコルビルメチルカルボニルペンタペプチド-72-トリ-ブチルトリプトファナミド)を0.0005%含有するクリームを毎日塗布し、使用開始前後2週間・4週間で評価を行った。
その結果、全ての項目で統計的有意差をもって改善が確認された。また、0.0005%という配合量で4週間の塗布によって有意差を得たことで、低濃度で効果的なPentide-Cの生体内利用率の高さが示唆された。
Pentide-Cは、細胞膜浸透性ペプチド(CPP)の技術をビタミンCの安定化に応用した素材で、通常のビタミンC誘導体は、安定化のために組み合わされる物質に機能はないが、Pentide-CでビタミンCの安定化のために結合するペプチドは、それ自体が皮膚に浸透し細胞までビタミンCを運ぶ機能を持っている。これはCPPの技術が用いられているためだ。
さらに、通常のビタミンCはトランスポーターに依存して細胞の中に取り込まれるが、Pentide-Cはトランスポーターに依存することなく、ビタミンCを細胞中に運び込む。そのため、低濃度ではビタミンCよりも強い効果が期待できるという。
「幹細胞コスメは近年、美容クリニックやサロンなどで相次いで展開され、市場でのニーズが高まってきている。原料商社でもありOEMメーカーでもある当社としては、Pentide-CとRS Liposome 3.0、濃縮エクソソームのミクスチャー原料である『RS Liposome 3.0E Complex』を配合したOEM製品の開発にも注力していく。幹細胞コスメのOEM・ODMに関しては正直、これまでどちらかといえば消極的なスタンスだったが、安全性の部分において由来までしっかりと把握でき、かつ十分なエビデンスデータがあるアンチエイジング社の原料ならば原料販売のみならず、OEM製品でも提案を検討していく。『RS Liposome 3.0E Complex』の取り扱いをきっかけに、我々にとって新たな視野が広がっていくことを期待している」(伊東氏)