化粧品OEM/ODM業界で国内最大手の日本コルマーは、「未来を描く共感コスメ」をテーマに、「CITE JAPAN2023」に出展している。「SDGsコスメ」「素肌力向上・機能性コスメ」「新敏感肌理論」「感性に訴えるコスメ」「開発者のこだわりコスメ」の5つのカテゴリーから、全25品の「共感コスメ」を発信する。
石上敏之常務取締役は、「新規のお客様が多く来場することを見据え、ブースには自信を持って提案できる『共感コスメ』を厳選して並べる。そのため、展示を控えた製品もあるが、来場いただいた方の要望やニーズに合わせて提案していきたい」と話す。
同社は国内5研究所・7工場体制で、スキンケアからメークアップ、ヘアケア、ボディケア、ネイル、フレグランスなどあらゆる化粧品の開発・製造を行っている。化粧品技術者(研究開発員)約200名のR&D体制で、基礎研究や製剤開発に取り組み、年間約1000SKUの新製品を生み出している。
石上常務は、「化粧品業界はコロナ禍で低迷している状況だが、新規参入企業は増え続けている。その多くがファブレス企業であり、製品化までサポートするOEM/ODMの役割は大きくなってきている」と話し、こう続けた。
「EC・通販を中心に広告宣伝を集中させることで1つの製品はものすごく売れるようになった。しかし、次の柱となる製品を育てるのが難しい状況にある。このことは、製品の開発・製造を担う当社も課題感を持って取り組む必要があると思っている。
当社は、全方位型であらゆる化粧品を開発・製造できるOEM/ODM会社として、おかげさまで業界内では認知されている。今後は、どのカテゴリー・品目においても、それぞれ専門に取り組むメーカーに負けない技術開発力、そして提案力を養い、さらに総合力を高めていく」
化粧品業界は昨年、回復基調が見られたが、石上常務は「コロナ前に比べ、まだ完全に戻り切れていない」と市況に対して厳しい見方をしている。
「今年はマスクをしない生活が戻ることで、メークアップ市場の早期回復が期待される。当社もそこに合わせた提案を強化していく」(石上常務)
昨秋の水際対策の緩和から回復基調にあるインバウンドについては、「お土産需要は多少期待できそうだが、コロナ前の『爆買い』のような買われ方はなくなるだろう」と話し、「ブランドメーカーにとっては、国内ではインバウンドに頼りすぎない戦略が重要になってくる。従来の考え方を変えていかなければ、企業としての成長・発展は難しくなってくるだろう」との見解を示した。今後は海外の大手OEM企業の参入も控えている。
「海外企業の参入により、国内OEM/ODM業界の方向性や考え方が変わる可能性もあるだろう。開発スピードなどの速さなど海外企業のビジネスモデルに対し、対策を講じながら、競争力強化に向けて取り組んでいく」(石上常務)
多様なニーズに応える開発力と
提案力でブランド成長を支援
「CITE JAPAN2023」では、5つのコンセプトテーマに沿って、新処方・新製剤技術を取り入れただけでなく、多様な価値観やニーズに応えられる製品を中心に展示する。ブースでは、研究開発担当と営業担当が対応できる体制を整え、来場者の職種や目的、ニーズに合わせて、様々な切り口から「共感コスメ」を提案していく。
「SNSで『いいね!』が沢山ついた製品やサービスからトレンドが生まれる時代を迎えている。コンセプトやテクスチャーなどが直観的、感覚的にわかりやすい、特徴のあるもの、スピード感を持って開発・提案できることをアピールしていきたい」(石上常務)
テーマの1つである「SDGsコスメ」では、マイクロプラスチックフリー(MPF)に着目し、MPF対応のベースメークなどを展示する。
「SDGsに関しては、昨年の春以降、取り組む化粧品会社が一気に増えてきた印象がある。開発・製造側から、企業のSDGs達成に向けた取り組みをサポートしていく」(石上常務)
「素肌力向上・機能性コスメ」では、薬用化粧品を中心に効果実感のあるスキンケア製品を中心に紹介する。「広告表現に対する規制が厳しくなり、薬用タイプの需要が高まっている」という。学会発表や基礎研究を経て開発した製品も展示する。また、技術者向けの展示会であることも踏まえ、「開発者のこだわりコスメ」と題し、「開発者が自信をもってお勧めできる製品」のラインナップを充実させた。
そして、前回に続き、今回も容器を含めた提案を行う。
前回展示した「ナノバブル発生容器」を用いた製品は、この2年の間に複数のブランドが既に商品化している。今回は、環境配慮型容器やディスペンサーの組み合わせで、付加価値化を実現する製品などを紹介する。