花王とライオン、使用済みつめかえパックを協働で水平リサイクル

粧業日報 2023年5月23日号 2ページ

カンタンに言うと

  • 再生材料を一部に使用したつめかえパックを初めて製品化
花王とライオン、使用済みつめかえパックを協働で水平リサイクル
 花王とライオンは、使用済みの容器を再び同じ種類の容器に戻す水平リサイクルにより、再生材料を一部に使用したつめかえパックを、初めて製品化した。

 フィルム容器のリサイクルに協働で取り組んできた成果として、花王は衣料用濃縮液体洗剤「アタック ZERO つめかえ用(1620g)」を、ライオンは洗濯用液体高濃度洗剤「トップ スーパーNANOX ニオイ専用 つめかえ用超特大」(1230g)を5月29日から順次、一部店舗にて数量限定で発売する。

 日本の日用品市場では、花王・ライオンをはじめとする日用品メーカーが、1990年代から包装容器プラスチック使用量の削減を進めてきた。内容物の濃縮化による製品容器のコンパクト化、つめかえ・つけかえ用製品の開発・普及により、プラスチックの使用量を大幅に削減してきており、2021年のつめかえ・つけかえ用製品は、全製品出荷量の約80%となっている。

 一方、つめかえ用製品であるつめかえパックは、主に使われているフィルム素材が複合材料からなるため、リサイクル材が多種類の成分からなる不均質なプラスチックとなり、リサイクルが困難な状況だった。また、日用品のプラスチック包装容器については分別回収のしくみが確立していないことや、消費者に対しリサイクルの必要性が伝えきれていないという課題もあった。

 そのような中、花王とライオンは2020年9月にプラスチック包装容器資源循環型社会の実現に向けて、洗剤やシャンプーなどのフィルム容器(つめかえパック)のリサイクルに協働で取り組むことを発表。将来的なフィルム容器リサイクルの社会実装を目指し、フィルム容器から再度フィルム容器に再生する水平リサイクルの検討を進めてきた。

 花王は2021年6月に、フィルム容器リサイクルのパイロットプラントを和歌山研究所に導入し、フィルム容器の一括リサイクルの開発・検証を進め、今回、つめかえパックの一括リサイクル技術の確立により、リサイクルした材料を使用したつめかえパックの製品化に至った。リサイクルした材料は、中間層の一部に使用している。

 また、リサイクルした材料は約10%使用される。これまでに花王が回収を実施してきた自治体のものに加え、花王・ライオンの協働で回収の実証実験を展開しているイトーヨーカドー曳舟店、ウエルシア薬局で回収したものが、今回のリサイクルつめかえパックに一部活用される。リサイクルつめかえパック全体の材料のうち約1%がこれらの回収した使用済みつめかえパック由来のもので、残り約9%は製品として使用されなかったつめかえパックを活用している。

 両社は今後も、フィルム容器の分別回収のしくみの改良や、リサイクル技術の向上と確立、容器の設計ガイドラインの策定などを協働で進めていく。
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