資生堂、第16回女性研究者サイエンスグラントの受賞者を決定

粧業日報 2023年7月19日号 5ページ

資生堂、第16回女性研究者サイエンスグラントの受賞者を決定
 資生堂は、第16回「女性研究者サイエンスグラント」の受賞者10名を選出し、7月6日、「サステナブルな社会の実現を目指した女性研究者同士のネットワーク構築」をテーマにした授賞式を、資生堂グローバルイノベーションセンターにて開催した。

 同グラントは、「次世代の指導的役割を担う女性研究者を支援することは科学技術の発展につながる」という考えのもと、自然科学分野の幅広い研究テーマ(理工科学系・生命科学系全般)を対象に、2007年の設立以来、毎年最大10名の女性研究者へ研究助成を実施している。

 受賞者に贈られる各100万円の助成金は、出産・育児等のライフイベントと研究活動を両立するための環境整備(学会参加の際の託児費用や研究補助員の雇用等)にも柔軟に活用できることが特長で、グラントを通じた受賞者同士の交流や共同研究は、受賞者の研究活動、キャリア形成のサポートにもなっている。

 同社は、「BEAUTY INNOVATIONS FOR A BETTER WORLD(美の力でよりよい世界を)」を企業使命に掲げ、多様なバックグラウンドを持つ人々が持てる力を発揮し、イノベーションを生み続ける組織文化づくりのため、「ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)」を重要な経営戦略として位置づけている。

 日本のSTEM領域におけるジェンダー・ギャップ解消への課題認識が高まる中、同社は女性活躍推進を積極的に推進する企業として、女性研究者の支援を通じた科学技術の発展によるサステナブルな社会の実現に貢献していく。

 同社では女性研究者の現状について、過去の受賞者を対象にアンケート調査(2022年11月16~30日、送付者119名うち回答者74名)を実施したところ、8割以上の研究者が「女性ゆえに困っていることがある」と回答した。

 その理由として最も多く挙げられたのは「家庭と仕事の両立が困難である」で、「女性研究者が少なく立場が理解されにくい」「周囲に相談・情報交換できる人がいない」がそれに続いた。日本社会に根付く性別役割分担意識が家庭と仕事との両立を困難にする中、様々な悩みを抱えている女性研究者の実態が浮き彫りになった。

 一方、同グラントを受賞して良かったことについては、「助成金が得られた」「優秀な他の受賞者との交流が次の発想につながった」「受賞そのものが心の支えになった」「資生堂の研究員と交流がもてた」「周囲から認められるようになった」などが挙げられた。

 これらの結果から、助成金という有形の支援に加え、ネットワーク形成をはじめとする無形の支援も厳しい環境下にある女性研究者には有意義であると考えられる。

 次世代の指導的役割を担う女性研究者の育成を趣旨とする同グラントは、設立から16年が経過し、これまでの受賞者は延べ149名となった。過去の受賞者からは、教授や研究室を主宰する研究リーダーなどが多く輩出されている。

 研究者が発想を膨らませ、研究成果を生み、社会に還元するうえで、研究者同士のネットワーク構築が不可欠であることから、引き続き同グラント受賞者を中心とした女性研究者同士のネットワーク構築をサポートし、専門分野や領域を超えた多様な人と知の交流機会を提供していく。
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