訪販ジャーナル 2024年7月8日号 3ページ
カンタンに言うと
ポーラ・オルビスホールディングス(横手喜一社長)傘下で化粧文化に関する研究活動を行うポーラ文化研究所は5月16日、東京都港区南青山に移転し、「化粧文化ギャラリー」を新たに開設した。
ポーラ文化研究所 化粧文化ギャラリー マネージャーの西原妙子氏は「当研究所は再来年で設立50周年を迎える。日本で企業による芸術文化支援(企業メセナ)が盛り上がる遥か前より文化・芸術に関する研究をコツコツと積み上げてきた。2代目社長・鈴木常司が『美を追求し、人間の心の本質を探ることに取り組むことが豊かな社会の実現につながる』という信念で創設したと聞いている。創設当初は古典文学の中から化粧や粧うというワードを抽出し、日本の伝統化粧のはじまりである飛鳥時代から江戸時代までの化粧の変遷について化粧史文献年表をまとめていった。その年表には万葉集の『初春「令」月、気淑風「和」、梅披鏡前粉、蘭薫珮後之香』が収録されているが、この一節は現在の元号の出典といわれ、その当時の化粧文化が表現されている。その後、明治維新以降の伝統的化粧から西洋文明の化粧を取り込んで日本独自の化粧意識と融合していった121年間をまとめた書籍として『明治・大正・昭和の化粧文化―時代背景と化粧・美容の変遷』を発行し、令和に入りコロナ禍の数年間を経て平成30年間の女性雑誌の美容記事から読み解いた独自分析や、ポーラ文化研究所が長年実施している美容意識調査のデータ分析を掲載する形で『平成美容開花―平成から令和へ、美容の軌跡30年』をとりまとめた。今後も人々の化粧行動の奥底にある美しくありたい・化粧をしたいと思う気持ちを学術的に掘り下げていこうと考えていた折、POLA青山ビルディングの竣工計画が持ち上がり、文化・芸術をさらに積極的に発信していくべくビル1階に化粧文化ギャラリーを立ち上げるに至った」と語った。
化粧文化の学術的な探求を目的に1976年5月に設立されたポーラ文化研究所は、化粧文化に関わる資料の収集保存・調査研究・公開普及に取り組んできた。
移転にあたり新設した「化粧文化ギャラリー」では、これまでに収集した文化資産と研究で得た知見を、展示、書籍、ワークショップなどを通じて紹介していく。従前からオンラインとリアルで実施しているレファレンスサービスも継続し、個人や企業、団体を問わず、社会からの化粧文化に関わる質問や相談にも応えていく。
「化粧文化ギャラリー」では、「美容・化粧・よそおい」の観点から蓄積してきたコレクションと研究知見をArtとBooks、2つのエリアで紹介する。
Artコーナーでは、化粧道具や装身具、浮世絵、ファッションプレートなどを展示し、Booksコーナーではテーマから連想を広げた切り口で、おすすめの書籍を掲示する。
オープニング企画は「はじまりの美学」とし、様々な「はじまり」を紐解く。5月16日~8月30日までの第1期は「化粧文化研究のはじまり」をテーマに、研究所の創設期に収集した婚礼化粧道具や浮世絵などを展示している。
開室は週2日(木曜日・金曜日(祝日・年末年始は閉室)、開室時間=11:00~17:00、無料)で、木曜日はギャラリートークやワークショップ、レファレンスなど予約制プログラムを実施し、金曜日は予約不要のフリー開室日としている。
同研究所では、古代から近現代まで化粧道具や装身具、絵画資料、文献など約6500点のコレクションを持ち、世界的に希少性の高い資料を多数所蔵しているが、化粧文化ギャラリーの開設に先立ち、2024年4月には「デジタルミュージアム」をローンチした。
設立以来、長年にわたり企画開催してきた展覧会を再構築し、2024年は過去に評判がよかった10企画展、約1000点のコレクションをインターネット上で公開。江戸時代後期の化粧道具をはじめ、世界の櫛、化粧の情景を描いた浮世絵やファッションプレートなど多彩な世界を一望できる。また、散逸しがちな遊牧民の装飾品を収集・保存した貴重なトルクメンの装身具なども多数公開している。
リアルとデジタルの双方を刷新したポーラ文化研究所は、世界中からアクセス可能なデジタルと「化粧文化ギャラリー」というリアルな場、その両軸から化粧文化の楽しさを社会に発信し、地域社会との交流をより一層深めていく。
この記事は訪販ジャーナル 2024年7月8日号 3ページ 掲載
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