ホシケミカルズ、毛髪と頭皮をWケアする機能性ペプチドを提案

C&T 2023年12月15日号 32ページ

ホシケミカルズ、毛髪と頭皮をWケアする機能性ペプチドを提案
 化粧品原料商社として1975年に創業し、OEMや容器製造なども手がけるホシケミカルズでは、ヘアケア原料のカテゴリーにおいて、ヒトの毛髪とほぼ同じ18種類のアミノ酸組成を持つ厳選されたニュージーランド産白毛羊毛を由来とし、低分子で生体利用率が高い機能性ペプチド原料「シナチントップ」(製造元=ケラチノーヴ社)の提案に注力している。

 毛髪と肌の主要成分はケラチンで、その割合は約90%を占める。ケラチンはアミノ酸により構成され、システインが2分子結合した含硫アミノ酸であるシスチンを特に多く含む。通常のシステインは酸化しやすく、他のシステインと酸化結合してシスチンになりやすい。そのため、一般的な天然ケラチンは、18種類のアミノ酸がつながった構造(SS結合)で分子量が大きく、吸収されにくい構造となっている。

 一方、ケラチノーブ社のシナチントップは、特許製法(スルホン化構造)によりシステインのアクティブ部分を残しながらトリペプチドの形で安定させた活性型ケラチン由来ペプチド粉末で、分子量が平均500ダルトンと低く小さく、親水性が高いため、吸収されやすい。また、pH値が3~12の範囲で幅広く安定して使用できる。

 シナチントップは、直接毛髪のキューティクルや頭皮の毛包部に浸透し、毛髪内部のタンパク質と結合するほか、ケラチノサイト細胞を活性化することでうるおいを与え、ハリ・コシ・ツヤのある若々しい健康的な美しい髪を育むという。

 「一般的な天然のケラチン原料よりも分子量が小さく、粉末ながら溶解性に優れるほか、従来の羊毛由来ケラチンで課題となっていた動物臭が少ない点も処方面で非常に使いやすい。それに加えて、多くのヒト臨床試験データを有しており、安心して紹介できる点も提案を注力している大きなポイントだ」(伊東大輔統括本部原料営業グループ係長)



 臨床試験では、シナチントップを0.5%配合したシャンプーとヘアローションを被験者45人が90日間使用し、無配合のプラセボを使用した場合と比較を行った。その結果、シナチントップ配合のシャンプーとヘアローションを90日間使用した被験者の脱毛数は、プラセボと比較して-42%となり、脱毛抑止効果が認められた。これは、シナチントップがアナゲン期毛包数を増加させ、テロゲン期毛包数を減少させることにより、抜け毛を効果的に抑制することを示唆している。

 また、ツヤに関しては90日間使用で+39%となった。シナチントップが壊れた毛幹外層(キューティクル)の亀裂に入り込むことで、キューティクルを平らで均一な表面となって光が反射されたことに加え、外層をなめらかにすることで縮毛矯正の原因となる水分をはじき、ツヤがアップした。

 シナチントップの臨床試験ではこのほか、紫外線からの毛髪構造保護効果に関する評価を実施した。シナチントップ0.5%配合水溶液に毛髪を浸してUV照射後、FRAP(光褪色後蛍光回復法)による抗酸化能と、タンパク質含有量、もつれの各数値を測定した。その結果、シナチントップ0.5%配合水溶液を塗布した毛髪では、FRAPが無配合のプラセボと比較して+12.6%で髪の抗酸化作用が増し、髪を老化させ髪の形成や成長を妨げる酸化ストレスから髪と頭皮を保護することが確認された。



 また、タンパク質含有量が+19.1%でUVダメージからタンパク質を守り、もつれに関してはキューティクルをなめらかにすることでコーミングの回数がプラセボよりも少ない結果となった。

 「シナチントップは、毛髪と毛包にダブルで作用し、短時間で洗い流してしまうシャンプーでも結果が得られている。ヘアケア以外にスキンケアで数々の効果が臨床試験で実証されているのも特徴的で、頭皮ケアも含めたトータルケアが期待できる原料として今後も提案を強化していきたい」(伊東氏)
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