日本色材工業研究所、売上面は前倒しで成長のステージに突入

週刊粧業 2024年1月1日号 83ページ

カンタンに言うと

  • 省人化・省力化を軸に収益性の改善へ
日本色材工業研究所、売上面は前倒しで成長のステージに突入
 日本色材工業研究所では、5カ年の中期事業戦略ビジョンにおいて、2022年から24年の第1ステージでコロナからの復活と将来の成長に向けた事業基盤の再構築を進め、25年から26年の第2ステージでコロナからの復活・回復のモメンタムを持続し、さらなる成長を目指す。

 奥村浩士会長に昨年の振り返りと今年の抱負を聞いた。

 ――昨年を改めて振り返っていただけますか。

 奥村 口紅を中心に受注が好調に推移した一方で、原材料や労賃、燃料などの各種コストが上昇し、利益面で課題を残す1年だった。

 国内ではコロナが明け、ヘアケアやスキンケアを得意とするOEMメーカーがメークの対応を強化しており、メークで新規受注を獲得するために価格面での競争が起きている。

 競合他社も我々と同様に各種コストが上昇しているが、我々はそこへさらに上場企業として情報開示に伴うコスト負担もある。我々がいくらお客様へ価格転嫁をお願いしても、業界で真逆の動きが進むと収益性が上向かなくなってしまう。

 情報開示は費用面でハンディキャップになるが、発想を逆転すれば企業としての透明性が我々にとってアドバンテージとなる。実際に、ヨーロッパの有力メーカーが取引するOEM会社を全世界で5社へと絞り込み、技術面や企業としての透明性が評価され、我々がその中の1社に選ばれた。

 フランスでは、子会社のテプニエ社で医薬品の大型案件を受注し、クリーンビューティーを訴求したタルクフリーのファンデーションなども好調で、売上・利益ともに前年を大きく上回った。

 ――今年の抱負をお聞かせください。

 奥村 生産面では受注の好調に伴い、現状の人員でフル稼働の状況にあったが、今年からは新規採用のめどがつき、一部で夜間操業などが可能になる見通しだ。

 課題である利益面では、省人化・省力化への投資生産性の向上に努力し、一定水準の利益を確保できるようにしていきたい。

 売上面では既に中期事業戦略ビジョンで掲げる成長のステージへと入っているが、利益面ではまだそこに到達していない。収益性の改善を実現しないことには成長のための大きな投資が困難であり、利益面の改善を早急に進めていく。
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