ツバキスタイル、容器製造とリサイクルの2軸でさらなる事業拡大を

C&T 2024年6月17日号 62ページ

カンタンに言うと

  • 化粧品・トイレタリー容器の水平リサイクル推進、2023年は複数の企業と取り組みを実施
  • アートネイチャーとの共同プロジェクトを予定、リサイクラーとの連携にも注力
ツバキスタイル、容器製造とリサイクルの2軸でさらなる事業拡大を

 ツバキスタイル(東京都中央区)は、SDGsの理念に合致した環境対策容器の製造、販売に注力し、環境対策樹脂の使用量は化粧品業界内でも最大規模である。

 2021年には、容器大手グラセルと共同で「BEAUTYCLE」を立ち上げ、業界で初めて、回収した容器の再資源化と容器製造を一貫して行う「水平リサイクルシステム」を実現した。今後も、各メーカーと共同してリサイクル事業の推進に注力していく方針だ。

化粧品・トイレタリー容器の水平リサイクル推進
2023年は複数の企業と取り組みを実施

 化粧品・トイレタリー容器メーカーのツバキスタイルは、容器大手のグラセルとの資本参加により、2021年にBEAUTYCLEを立ち上げた。

 BEAUTYCLEでは化粧品・トイレタリー容器の水平リサイクルを推進しており、使用済みのプラスチック容器を回収し、新品のボトルに生まれ変わらせる「ボトルtoボトル」を中心とした取り組みを行っている。2023年5月には佐賀県に「BEAUTYCLE佐賀工場」を竣工し、リサイクル事業を本格化させている。同工場は、ボトルの製造とリサイクルがコンビネーションされたハイブリッド型の工場となっているため、リサイクルだけでなく通常の製造も行われている。

 同社代表取締役の杉山大祐氏は、現在の容器産業について「単に容器のデザインや素材だけでは差別化が難しい」とした上で、飲料容器においてはボトルtoボトルが一般化している一方で、化粧品・トイレタリー容器は容器の種類が多岐にわたり、マテリアルリサイクルができる容器とできない容器があることにより回収が難しい点に着目したという。

 「このような状況下で、当社は化粧品・トイレタリー容器における製造とリサイクルを結び付け、水平リサイクルを推進することでビジネスプラットフォームの差別化を図っている。しかしながら、再資源化だけをビジネスとするのではなく、あくまでも容器製造を主軸としながらリサイクルを活用して容器の製造シェアを拡大していく」(杉山氏)

 2023年には、複数の企業とすでに取り組みを進め、PCR(消費者による廃棄物)の回収と再資源化を実現した。BEAUTYCLEの取り組みに賛同した新日本製薬は、使用済み容器を店頭で回収し、水平リサイクルによって同じ容器を再生させる「パーフェクトワンリサイクルプログラム」を化粧品業界で初めて実施した。

 2023年8月には、無添加石けんのパイオニアであるシャボン玉石けんと北九州市立病院機構 北九州市立八幡病院との3社間において、「ハンドソープ容器の資源循環リサイクル実証実験に関する協定」を締結した。

 北九州市立八幡病院内で利用されている、シャボン玉石けんのハンドソープ「手洗いせっけんバブルガード」は、病院という衛生管理がより必要とされる環境において、詰め替え用の商材は使用せず、使用後はボトルごと処分し、新しい商品を使用するというフローをとっていた。この取り組みでは、使用済みボトルをBEAUTYCLE佐賀工場にてリサイクルし、新たな手洗いせっけんバブルガードとして生まれ変わらせることで廃棄物の削減へとつなげている。

 さらに同月には、東急ホテルズ&リゾーツ株式会社が運営する「BELLUSTAR TOKYO, A Pan Pacific Hotel」(2023年5月開業)で使用されているホテルオリジナルのバスアメニティボトルを使用後に回収、再利用する取り組みも行った。

アートネイチャーとの共同プロジェクトを予定
リサイクラーとの連携にも注力

 同社は、アートネイチャーと共同で「生産ロスゼロプロジェクト」を5月から開始している。このプロジェクトでは、PCRではなく、PIR(製造・生産過程で発生する廃棄物)を回収し、再資源化を図る。

 PCRの場合は、量が少なく回収も難しいが、PIRの場合にはPCRと比べて容易であり、1度に多くの廃棄物を回収することができる。プロジェクト第1弾は、アートネイチャーの新ヘアケア商品において、この取り組みを実施する。どのメーカーにおいても廃棄物は発生するため、アートネイチャー以外の企業からも、同社の理念に共感し、ともに取り組みたいという声が増えているという。

 さらに同社は、リサイクラーとの連携にも力を入れている。近年、環境への対応が求められるようになり、リサイクルの需要が増加する中で、リサイクルに必要な機械が不足しているといった課題が生じている。同社はこのような課題に対し、機械を提供するなどの支援を行い、リサイクル事業の推進に貢献している。

 「ここ数年で大手メーカーからの容器製造の依頼が増加しており、中には成型技術が難しい形状の容器も多く含まれている。当社は、これまで培ってきた容器製造の技術を引き続き活かしていくとともに、容器製造とリサイクルという2つの軸で取り組んでいく」(杉山氏)

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