パーソナルケアやホームケア用途の天然系ポリマーを開発・提供するDOC Japanは2022年11月、原料専門商社のカネダと共同で、アミノ酸系界面活性剤のベースを変えずにポリマーを組み合わせることでシャンプーの質感を変える技術特許を取得した。
同技術では、ジャガイモデンプン由来の水溶性ポリマーをカチオン化した多機能ポリマーの「DOCSTARCH CP Plus」(以下、ドックスターチ)に、天然由来多糖類のセルロースを由来とするコンディショニングポリマーの「DOCQUAT(ドックコート)10」を組み合わせることで、アミノ酸系界面活性剤処方の長く続くぬめり感を軽減する。
天然由来のアミノ酸系界面活性剤は、優れた生分解性から環境にやさしいため、ヘアケア市場で需要が高まっている。しかし、アミノ酸系界面活性剤は肌との親和性が高いために、シャンプーで洗い流しても落ちにくく、ベタつきや地肌のかゆみといった課題も多い。
「それを解決するのが特許を取得した本技術で、ポリマーの組み合わせによりアミノ酸系界面活性剤の配合量はそのままに、さっぱりと洗い流すことが可能で、これが結果として節水につながる。生活者の環境意識が高まり、水資源を大切にするシャンプーの訴求やコミュニケーションが今後広がれば、購買意欲を喚起する重要なポイントになっていくだろう」(大川彰子社長)
ドックスターチは、メタンや一酸化窒素といった温室効果ガス全般の排出量が実質ゼロ(クライメートニュートラル)を達成したドイツの工場に製造を委託している。また、塩化ヒドロキシプロピルトリモニウムデンプンを表示名称とする同原料は、アメリカの非営利環境団体(Environment Working Group)より、化粧品成分の安全性が高く、環境への影響が少ない「EWGグリーン等級」に認定されている。
「ポリマーを工夫することで、界面活性剤など配合されている原料の使用量を減らし、それが結果として製品全体におけるCO₂排出量の削減に寄与する。今後も既存のポリマーが持つ新たな機能を引き出すため研究を進めていく」(大川社長)
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この記事は週刊粧業 2024年7月1日号 31ページ 掲載
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