粧業日報 2024年8月28日号 3ページ
化粧品OEM/ODM国内最大手のTOAは、国内需要の回復で、2024年度(2025年3月期)の第1四半期(2024年4~6月)売上高は前年同期を上回って推移した。
同社は2023年度に20期連続増収を達成している。特に2022年度、2023年度は2期連続で2ケタ増収となった。
カテゴリー別では、メークアップ市場の回復が継続している。スキンケア、ヘアケアも堅調に推移したが、市場競争の激化の影響により、主要顧客の一部では受注の減少が見られたという。
神崎義英社長は、「ファブレス企業が多いEC・通販市場も、勢いが弱まってきた印象がある。新規顧客の獲得に向けて製品開発・提案営業をさらに強化していく」と話した。
「ここ数年の競争激化は、スタートアップ企業の影響力が強まったことも一因だ。彼らは販売・マーケティング重視で、処方開発や製造を当社のようなOEM/ODMに依頼する。そして、SNSの普及を背景に、成長スピードが速い。それに対し、小ロットから大ロットまで柔軟に対応できる当社の生産体制は、彼らに安心、信頼を提供し受注獲得につながっている。また、異業種からの参入は一時期より落ち着いているが、何かのタイミングで再び活発化する可能性はあるだろう」
顧客対応力の強化に向けて、国内生産7拠点のうちの1つ、結城第一工場(茨城県結城市)の近隣で新工場が年内に竣工する。スキンケア、ヘアケアなどの液体化粧品、危険物製品の製造に対応する工場と位置づけ、来年春より稼働開始の予定で、神崎社長は、「関東エリアで生産能力を高めることで、関東近郊の顧客の利便性向上に貢献していきたい」と話した。
各生産拠点では、自動化・省人化に向けた設備投資を継続的に進める。
「私たちOEM/ODMへの開発・製造依頼は今後も堅調に推移すると考えているが、同時に人材獲得も難しくなってきている。自動化・省人化への設備投資を継続的に進めていく」(神崎社長)
海外では、中国2拠点、ベトナム1拠点に生産工場を構えている。コロナ禍を経た市場環境の変化や各国の規制強化への対応を見定めている。
神崎社長は、「これまで安心・安全の保障となっていた日本製という看板が、処理水放出問題の影響で、かえって足かせになってしまっている状況だが、中国が大きな市場であることに変わりはない」と述べ、新たな成長戦略を描き直していく考えを示した。
この記事は粧業日報 2024年8月28日号 3ページ 掲載
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