岩瀬コスファ、高機能化技術を用いたコメ由来原料を提案

C&T 2024年9月17日号 26ページ

岩瀬コスファ、高機能化技術を用いたコメ由来原料を提案

 岩瀬コスファは、ナチュラル&オーガニック原料として、大日本化成の高機能化技術を用いた「コスメソームCM-1V」「デリソームCX2」の2原料を提案する。大日本化成の高機能化技術とは、1977年の創業以来培った保有技術(原料の選定、配合比、特殊な乳化技術など)を指す。

 「コスメソームCM-1V」は、コメヌカ由来のスフィンゴ糖脂質を大豆レシチンで、「デリソームCX2」は微生物由来の天然セラミドで高機能化処理し、乳化した原料である。

 コメヌカは、古くからアジア女性に愛用されており、特に日本ではスキンケア製品に多く利用されている。近年では、世界的にも米のとぎ汁が注目されており、ジャパニーズビューティの秘訣として考えられている。

 海外ではヘアケア製品に用いられることが多く、とぎ汁に含まれるでんぷんが髪のたんぱく質に働きかけることで、艶やハリをもたらすとされている。

 大豆レシチンを用いて高機能化された「コスメソームCM-1V」は、リポソーム化されていることが確認されている。リポソーム化した場合の特長としては、「外観の透明化」「浸透力向上」が挙げられる。従来技術で処理した場合には白濁化するが、高機能化技術を用いることにより透明な仕上がりを実現する。

 「浸透力向上」については、リポソームの構造が大きく関係している。リポソームは、両親媒性の脂質や合成界面活性剤の二分子膜から構成される小さな小胞体(ベシクル)の一種で、特にリン脂質で構成されるものを指す。皮膚のバリア構造は、油分と水分が交互に重なり合う形で形成されているため、親水性の成分のみを使用すると油分の層で弾かれ、逆に親油性の成分のみを使用すると水分の層で弾かれてしまい、肌の奥深くまで浸透しにくくなる。

 リポソームの層状構造は肌のそれぞれの層に合わせて有効成分を浸透させるため、従来のエマルジョンに比べて、より深くより効果的に肌に浸透することが可能になる。

 「デリソームCX2」は、コメヌカと微生物由来の2種類の天然セラミドを含有したナノエマルジョンである。

 2原料はどちらも合成界面活性剤フリー、防腐剤フリーの処方であり、ナチュラル志向の消費者に適した製品となっている。

 「コスメソームCM-1V」の浸透性について、3次元皮膚モデル浸透試験、毛髪浸透試験を実施した。従来技術では、表面部分にしか浸透していないのに対し、高機能化技術では、肌・髪内部まで浸透していることが確認できる(図1)

 「デリソームCX2」も同様に、3次元皮膚モデル浸透試験、毛髪浸透試験それぞれにおいて浸透性の向上が確認された。さらに、普段マスクを着用することでマスク着用部位に痒みや肌荒れを感じている女性を対象に、朝夜の洗顔後、「デリソームCX2」10%水溶液を塗布してからいつものスキンケアを実施した試験では、頬、顎それぞれにおいて2週間後に角層水分量の向上が確認された(図2)


 「デリソームCX2」は、1%配合の場合の効果についても試験を行っている。「デリソームCX2」 1%配合および無配合のローションを、普段使用しているローションの代わりに半顔ずつ1カ月間使用し、使用前と使用後の角層水分量を測定して変化率を算出した。結果としては、無配合の場合と比較し、「デリソームCX2」1%配合の場合には角層水分量が約1.2倍であり、浸透性の向上が認められた。

 大日本化成では、一般原料だけではなく、顧客のニーズに応じたオリジナル原料の製造も行っている。例えば、ビタミンCとビタミンEを組み合わせてナノエマルジョン化した原料の製造や、不安定で製剤に組み込むのが難しいとされてきたコエンザイムQ10の安定化などを行っている。

 また、オリザノール(コメヌカに含まれる天然のポリフェノール成分)は肌のターンオーバー活性化やメラニン生成抑制といった働きがある一方で、難溶性のため製剤化しにくいという課題があった。しかし、同社の高機能化技術を用いると、オリザノールを5%配合した原料を製造することも可能である。

 このように大日本化成では、オリジナル原料の製造に関する問い合わせも随時受け付けている。

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