資生堂、毛髪メラニンの流出を抑えるカチオン性ポリマーを開発

粧業日報

資生堂、毛髪メラニンの流出を抑えるカチオン性ポリマーを開発

 資生堂は、毛髪がダメージを受け分解した毛髪メラニンが流出して毛髪メラニンホール(空洞化した穴)ができると、髪の美しさが損なわれることを発見した。毛髪メラニンと髪の美しさとの関係を明らかにしたことによって、これまで以上につややかな美しい髪を育む、“毛髪メラニンの流出を抑える「カチオン性ポリマー」と、毛髪メラニンホールを補修する「塩基性アミノ酸」”を見出した。

 同技術は、美容室専用の「THE HAIR CARE(ザ・ヘアケア) アクアインテンシブ」シリーズ(2012年8月22日発売)を皮切りに、同社のヘアケア商品に積極的に活用していく。

 毛髪は直径が約100μmの円柱状の形で、外側からキューティクル、コルテックス、メデュラとよばれる3つの層からできている。毛髪メラニンはコルテックスに存在し、肌と同様に髪や頭皮が紫外線からダメージを受けるのを防いでいる。
 黒褐色の毛髪メラニンが多いアジア人女性は、ツヤで悩んでいる人の割合が欧州(パリ)の女性より非常に高く、日本でも、毛髪の美しさを保つことを目的とした様々な毛髪ダメージの研究が行われてきた。

 これまでの毛髪ダメージに関する社内外の研究対象は、髪表面のキューティクルと毛髪の大半(85%~90%)を占めるコルテックスが中心で、髪の美しさが損なわれる原因は、キューティクルが剥がれて髪表面に凸凹ができたり、キューティクルやコルテックスがダメージを受け毛髪内部に間隙ができ、こうした部分で光が乱反射してツヤが低下することと言われていた。このように、これまでのダメージヘアの研究は、キューティクルやコルテックスが中心で、毛髪メラニンと髪の美しさ(ツヤ)に着目した研究はほとんど行なわれていなかった。

 そこで同社では、髪の色やツヤに深く関わっていると考えられる毛髪メラニンに着目し、より美しくつややかな髪を実現するための研究を進めることとした。

 毛髪メラニンは日常生活で様々なものからダメージを受けており、その要因としては、ヘアカラー(ブリーチ)・紫外線・熱による「分解」、洗髪による「流出」(溶出)が知られていた。そこで、毛髪メラニンがダメージを受けたとき、髪の美しさがどのように変化するのか、ということについて研究した。

 まず、毛髪を長時間ブリーチ(メラニンを分解)処理し、さらに洗髪してメラニンを流出させたものと、短時間ブリーチしたもので、毛髪の色を測定したところ、洗髪をした毛髪はブリーチをした毛髪(長時間、長時間+短時間)に比べて「彩度が低く、髪の色がくすんでいる」ことを突き止め、洗髪により毛髪メラニンが流出すると「髪の色がくすみ、ツヤが低下する」ことを明らかにした。

 次に、毛髪がダメージを受け分解したメラニンが流出すると、毛髪メラニンホールができることを確認し、「散乱光が増えるため、ツヤが低下する」ことを見出した。そこで、つややかで美しい髪を育む新たな対応として、毛髪メラニンの流出を抑える成分と毛髪メラニンホールを補修する成分の開発を進めた。

 シャンプー時の使用感を損なうことなくコーティング効果が期待できる約50種の候補成分の中で、最も毛髪への吸着性に優れ、しかもなめらかな感触だったのが「カチオン性ポリマー」で、シャンプー処方を使用時のpHを酸性にすることによって、メラニンの流出抑制効果を高めることも確認された。

 さらに、毛髪にダメージを与えて人為的に作った毛髪メラニンホールの補修効果について、約20種のタンパク質やアミノ酸などで効果を確かめたところ、アミノ酸の1種である「塩基性アミノ酸」が、毛髪メラニンホールを補修し、髪内部での散乱光の発生を抑える効果が高いことを見出した。毛髪メラニンホールのある毛髪に塩基性アミノ酸を塗布すると、散乱光の発生を抑え、美しくつややかな髪の象徴である“天使の輪”がはっきりしたという。

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