三葵コーポレーション(本社=愛知県岡崎市)は、化粧品容器の設計・開発から製造までの一貫生産体制をとっている。近年では、主力のファンデーション用のコンパクトをはじめとするメークアップ関連の容器に加え、スキンケア、ヘア&ボディケア向けのボトル容器の開発・販売を本格化し、企画提案の幅を広げている。また11年秋にタイの自社工場「タイサンキ」を竣工・稼働し、グローバル対応の事業基盤を築いた。
伊藤博行社長は、CITE Japan出展に向け「コンパクト容器の三葵というイメージを払拭し、化粧品容器の総合メーカーとしての認知を高めていきたい」と意気込みを語った。会場では展示会に合わせ一新した容器カタログと会社案内も配布する。
ヘアケア用ボトル容器の実績増
国内外で設備投資し体制強化
2012年度(50期)は、ヘアケア製品向けに揃えてきた樹脂ボトル容器の受注が伸び、業績は堅調に推移した。約3年前より注力してきたボトル容器の実績がついてきたことについて、伊藤社長は「社員たちの自信も高まった」と評価し、51期目も「順調な滑り出しで国内事業は軌道に乗っている」と語った。
今後の成長戦略については「顧客のあらゆるニーズに対し、国内外でフレキシブルに対応できるかどうかが重要になってくる」と言及し、今期も引き続き、スキンケア向けのボトル容器やクリームジャー容器の開発・提案に注力していく。
主軸のメークアップ容器は、季節に合わせて新色が展開され、トレンドの移り変わりが早いといったカテゴリー特性から、月別の生産量に差が生じ、生産効率を上げていくのが難しい状況にある。メーク商材に加え、通年使用されるスキンケア、ヘアケア商材の受注構成比が高まれば、生産効率を高められ、利益体質が今よりも強固になるという考えだ。
「グローバル戦略を進展していくには、国内の経営体質をさらに改善していく必要がある。そのためには、まずは国内で化粧品全般の容器を設計から製造まで可能な総合容器メーカーのポジションを確立していきたい」(伊藤社長)
その目標に向け、昨年より国内外で積極的に設備投資を行っている。
本社に隣接する岡崎工場には、樹脂ボトル容器用のインジェクションブロー成形機械を2台導入し、量産できる体制を整えた。
海外の生産拠点である「タイサンキ」も昨年、新たに設備投資を行った。タイサンキは、設立から1年半が経過し、自社開発容器の生産を開始している。ボトル容器は海外でも十分に受け入れられると判断し、岡崎工場に設置したものと同型のインジェクションブロー成形機械を3台導入した。日系企業以外のグローバルメーカーからの工場見学の申込みも増え、実感値として知名度も徐々に上がってきたという。
一方で、グローバル競争においては、よりコストパフォーマンスの高い製品が求められ、「価格での競争になると現地メーカーが数枚も上手だ」(伊藤社長)と語る。品質だけでなく、価格面でも対抗できる体質づくりを目指し、化粧品容器の設計・開発から、塗装、蒸着など各工程もタイサンキ内で一貫できる体制を築いていく方針だ。現在、タイの技術者を日本に招くなど人材のグローバル化にも力を注いでいる。
また同社はこれまで、自社開発容器以外に、台湾と上海の容器メーカーと提携し、海外から輸入容器を取り扱い、日本のメーカーに紹介してきた。低価格化傾向にある日本市場では、安価な海外容器を要望する顧客が増え、提案の幅を広げる目的で海外容器のバリエーションを増やしてきた。
今年4月には、台湾に続き、中国・上海に事務所を構えたが、今回の開設意図は別のところにある。
伊藤社長は、「海外容器の輸入業はあくまでサブの事業にとどめ、中国・台湾の各エリアで現地生産・現地販売を目指す日系企業のサポートを事業の主体にしていきたい」との意向を示した。上海では、現地OEMと提携し、日系企業の中国進出を容器から中身の充填までサポートできる。
「国内で築いてきた開発・製造での技術力を活かし、日本品質の化粧品容器を世界に提供していく。海外においても、単なる下請けではなく、パートナーとして一緒に成長できる関係を築いていきたい」(伊藤社長)
「脱・コンパクトの三葵」へ
容器イノベーションを具体化
迎えるCITE Japan 2013では、現在推進している計画を踏まえ、「う・つ・わのグローバルイノベーション」をテーマに、新型を含む国内外のトレンドを踏まえた容器を展示する。前期好調だったボトル容器にも新製品を揃えたという。
ブースの一画では、海外の製造拠点となるタイサンキをはじめ、事務所を構える上海、台湾でのサービス領域を紹介し、グローバル企業としての認知も高めていく。
「三葵コーポレーションという社名では初の展示会となる。化粧品容器に特化し、設計・開発から製造まで社内一貫生産できる強みを全面に打ち出し、既存顧客にも新鮮さを感じてもらえるような展示会にしたい」(伊藤社長)
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この記事は週刊粧業 掲載
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