2008年7月、大阪府岸和田市の埋立地に自社工場を設立し化粧品製造業者として内製化に舵を切ってはや5年。ディアローラは同じ工業団地内の7000㎡の土地にまず第1期工事として第2工場、及び物流センターを建設する(来年3月完成予定、総工費6億円)。5年前当時の売上げは6億円。これが今期9月決算では18億円を見込んでおり、この間、一気に3倍に膨れ上がった。
現在の同社の事業の中核は屋台骨を支える「pa nail collective」(通称pa=ネール)、「Eternal Basic」(通称EB=ネール+メーク)、「Automatic Beauty」(通称AB=ふたえ)の3ブランドによる国内販売である。前期まではこれが全売上の9割を占めていた。OEMと(自社ブランド)輸出はこれからである。しかし中長期的な成長戦略では伸びしろの大きいこれら2部門の拡販に重点を置き、今回の設備投資もその受け皿の一環として考えている。
「当社のコアコンピタンス(他社に勝る絶対的な強み)は『ディア魂』と呼ばれる大胆不敵なチャレンジ精神である」と、石井康智社長は語る。「向う見ずな挑戦は自殺行為である。事前にリスクをしっかり分析し、そこに勝機を見出せば、一気に攻め込む」
10年ほど前、後発ながら元々メーク製品のメーカーであった同社が、大手から中小メーカーに至るまでメークブランドが溢れ、先行きに閉塞感が漂う中、当時の「pa make up collection」を思い切って、ネールシールなどの雑貨を含めたネールに特化させた「pa nail collective」に大転換させ周囲を驚かせた。
すなわちred ocean(競争激戦区)領域からいち早く抜け出し、blue ocean(競争閑散区)戦略に転じたのである。石井社長は元々、繊維畑出身のいわば今流行りの異業種参入の先駆け的存在。それが故に化粧品業界固有の保守的な考え、慣習などには一切とらわれず、群雄割拠の時代に生き残りを賭け、粛々とビジネスライクに取り組む。
上述のとおり同社は今後、その軸足を徐々にOEMと輸出にシフトすることになり、遅まきながらOEMメーカーとして名乗りを上げるべく、今月開催の化粧品開発展・国際化粧品展にも出展した。それは決して自社ブランドを疎かにするということではない。
実際、毎シーズン、一息つく暇もなく矢継ぎ早に新製品を投入する。今秋は「AB Cosmetic Line」を東京ガールズコレクション(9月6日)でお披露目し、日本だけでなく米国、台湾、香港、シンガポール、マレーシアでもほぼ同時発売させた。ABふたえシリーズでも2つの新商品を出したが、そのうちシークレットクリアフィルムは発売直後から大反響を得ている。
何が飛び出すかわからないディアローラ。2022年9月期には売上30億円を目指すという。今後もその動向に目が離せない。
関連キーワード
この記事は週刊粧業 掲載
■訪販化粧品~熱波吹き荒れた夏商戦を総括~今夏も記録更新の猛暑、売上げへ影響度合い様々 ■全粧協関東ブロック、CRCフォーラムセミナー開催 ■花王、ヘルスケア・コミッティーを子会社化~健康ソリューションサービスの開発・提供を推進 ■アライドハーツHDとキリン堂、経営統合に向け協議開始 ■プラネット、激甚災害に備えた障害訓練で安全性を担保 ■メロディアン、無菌・無添加のスキンケアで化粧品市場...
バラ売り
【週刊粧業】2024年下期オーラルケアの最新動向
バラ売り
【週刊粧業】2024年パーソナライズドコスメの最新動向
バラ売り
【週刊粧業】2024年ヘアケアの最新動向
バラ売り
【週刊粧業】2024年アジアンコスメの最新動向
バラ売り
【週刊粧業】2024年アジアンコスメの最新動向
バラ売り
【週刊粧業】ビズジーン、遺伝子検査技術を様々な分野に活かす
バラ売り
【週刊粧業】Zenken、人材獲得と企業ブランディングを両立したサービスが好調
バラ売り
【週刊粧業】2024年・年末大掃除の最新動向
紙面を探す
紙面を探す
レポートを探す
無料でダウンロード
カタログを探す
無料で見る
週刊/毎週月曜日発行
化粧品、日用品、医薬品、美容業、装粧品、エステティック等を中心とした生産・流通産業界の総合専門情報紙。
季刊/年4回
化粧品、日用品、アクセサリーなどの業界別の市場動向をはじめ、戦略、流通、経営、マーケティングを扱う情報専門誌。
週刊/毎週月曜日発行
化粧品、トイレタリー、石鹸、歯磨、日用品に関する情報の速報版。業界のエグゼクティブ必読の情報紙。
週刊/毎週月曜日発行
昭和33年に創刊された、わが国初の訪問販売化粧品業界の専門情報紙。