東洋ビューティ、2種の製造機で新規製剤の開発へ

週刊粧業 2017年10月23日号 47ページ

カンタンに言うと

東洋ビューティ、2種の製造機で新規製剤の開発へ
 化粧品・医薬部外品OEM/ODM大手の東洋ビューティは、2003年より微粒子化を実現する高速ミキサーを導入してナノ化製剤の開発を進める中、昨年8月に新たに高圧乳化分散機を導入した。

 今後は2つのナノ化技術を用いた製造機を用いて新規性のある製剤開発を進めていく。

 吉尾公男執行役員(研究開発本部副本部長)は、ナノ技術の活用がナノ化した水分子の性質変化に着目した故・岩瀬保彦社長の肝いりでスタートしたことを振り返りながら、ナノ化製剤の開発に加え、「『ナノ化した製剤の安全性評価や有効性試験を行い、肌への浸透性などを資料データとして提供する』ことに自社の独自性、他社との差別性を見出していく」と意気込みを語る。

 これまで実現できなかった微細なエマルションの作製を実現した事例を挙げながら、「従来の開発製剤でもナノ化技術を用いることで新たな価値を生み出せる可能性はある」と語る。

 直近では、カタログ通販会社のハルメク(旧いきいき)社と進めてきた共同研究において、同社の独自開発成分である両親媒性ビタミンC誘導体をはじめ美肌訴求につながる厳選成分をナノカプセル化することに成功し、三次元培養ヒト皮膚モデルを用いた試験により浸透性と光老化の抑制効果を確認した。

 その研究成果については、昨秋開催されたIFSCCオーランド大会(米・フロリダ)や「第79回SCCJ研究検討会」で発表して知見を広げ、引き続き研究を進めている。

 また、微粒子化した酸化チタンが紫外線アナライザー評価でSPF値の上昇を確認するなど「研究レベルでは様々な可能性を探っている」。今後は、テーマに合わせて2種のナノ化技術の組み合わせも検討していくという。

 化粧品におけるナノ技術の応用について、吉尾氏は「安全性を担保に、肌の届かせたいところに機能性成分を届かせて効果実感を高めることに大きなメリットがある」との考えを示し、そのためには「届けたいところに適切な粒子サイズに整えられるかどうかも重要。粒度分布をよりシャープにできる調整技術を磨いていく」と話す。
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