花王・感覚科学研究所は、「一人ひとりの個性が輝く顔」をアートとサイエンスの両面から探求するため、特殊メイクアップアーティストで現代美術家のKazu Hiro（辻 一弘）氏と共同研究契約を締結した。
共同研究の中でKazu Hiro氏は、個性が輝く美しさをもつ女性をモデルとし、顔の彫像作品を制作する。同社は、その過程を科学的な視点から分析することで、「個性の輝く顔」を創り出していく知見を積み上げていく。
Kazu Hiro氏は、2018年米アカデミー賞において、日本人初となるメーキャップ・ヘアスタイリング賞を受賞した特殊メイクアップアーティストで、単身で渡米し、卓越した技術と独創性、培ってきた経験を活かし、現在では非常にリアルな顔の彫像を創作する現代美術家として活動している。
同氏がつくる顔の彫像は、毛細血管の赤み、しわの1本といった細部まで精緻に再現されていることが大きな特長で、透明感のある、リアルな肌の色彩や質感はどのような構造によってもたらされるのかを鋭い感性によって編み出していく技術は、同社の皮膚科学研究に新たな視点をもたらすことが期待されるという。
今回の共同研究では、同氏が作品を制作するプロセス、とりわけ、内面まで踏み込んだ深いモデルへの理解と、細部にまでこだわりを持ちつつ全体の造形を創り上げていく過程を通して、その人らしい魅力はどのように表出されるのかを学んでいくことを主眼にしていく。
具体的には、肌のリアリティを生み出す物理的な特性を皮膚科学や光学・色彩科学の観点から明らかにするとともに、その人の内面をも表現する個性が輝く顔とはどのような顔なのかを心理学や脳科学、顔学の観点から明らかにしていく。
また、これらの研究活動を通し、年齢や固定概念にとらわれない美しさを伝えていく。共同研究の知見は、一人ひとりの個性を輝かせるような社会の実現に貢献すべく、花王のさまざまな事業領域に活かしていく。
この記事は粧業日報 2019年5月28日号 4ページ 掲載
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