アイスタイル 矢野貴久子氏、デジタルシフトがコロナ禍で加速

C&T 2021年6月15日号 9ページ

カンタンに言うと

  • 基礎研究の重要性が高まる1年に、フェムテックの市場活性化に期待
  • 「ソーシャルセリング」がコロナ禍で脚光、ブロックチェーンやバーチャルストアも注目
アイスタイル 矢野貴久子氏、デジタルシフトがコロナ禍で加速
 コロナ禍で、化粧品業界では「ECシフト」「DX推進」「ビッグデータ・AI活用」の変革スピードが10年早まったとも言われている。

 EC市場が成長した今、仮にコロナ禍が収束しても、店舗売上は以前の水準には恐らく戻らず、実店舗を抱える事業者には減収しても黒字化するための構造改革(小売のDX化)が必要となっている。

 このように、ECの拡大とユーザーコミュニケーションのデジタルシフトが加速しているのに伴い、従来のマスメディアを基軸とする広告や販促を、デジタルマーケティングに転換する動きが大手化粧品メーカーを中心に活発化している。

 また、D2Cなどデジタルネイティブな新興ブランドが台頭し、次世代通信規格・5Gの広がりとともに、XR(現実世界には存在しないものや情報を表現・体験できる技術)などの最新テクノロジーを活用した新たな美容製品・サービス「BeautyTech」への注目もますます高まっている。

 アイスタイルの矢野貴久子BeautyTech.jp編集長にBeautyTechの最新動向や今後の展望について話を伺った。

基礎研究の重要性が高まる1年に
フェムテックの市場活性化に期待

 ――Japan BeautyTech Award 2021受賞企業の顔ぶれを踏まえ、美容分野における「BeautyTech」の最新動向についてお聞かせください。

 矢野 今回のアワードでは、肌に関係する「基礎研究」の応募も多く印象的だった。

 大賞を獲得した日本メナード化粧品の「三次元培養皮膚モデル」は、幹細胞の技術と最新のゲノム編集技術を融合させ、肌のバリア機能に関連するフィラグリン遺伝子をゲノムレベルで編集することで、幹細胞の段階からバリア機能が低下した人工皮膚モデルを作製するという世界初の非常に画期的な技術だ。

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