ホシケミカルズ、天然由来のシワ改善成分「ペンタデシル」を提案

C&T 2022年6月15日号 42ページ

ホシケミカルズ、天然由来のシワ改善成分「ペンタデシル」を提案
 化粧品原料商社として1975年に創業し、OEMや容器製造なども手がけるホシケミカルズでは、エイジングケア・保湿原料のカテゴリーにおいて、化粧品機能評価法ガイドライン(新規効能取得のための抗シワ製品評価ガイドライン)に基づき実施されたヒトモニター試験において、「乾燥による小ジワ」に対する改善効果が認められた天然由来のシワ改善成分「ペンタデシル」(製造元=シー・アクト)の提案に注力している。

 ペンタデシルは、昆布やワカメ、珪藻などが含まれるストラメノパイル生物群に属する微細藻類「オーランチオキトリウム」が産生する飽和脂肪酸脂質を抽出分離、精製して得られた油溶性の粉末原料で、昨年5月より販売を開始した。由来となっているオーランチオキトリウムは近年、高度不飽和脂肪酸であるDHAやEPA、DPAを作り出すことで注目されている。

 シー・アクト社では、オーランチオキトリウムなどの藻類を食べるサバやイワシなどの魚を人々が間接的に摂取することで、オーランチオキトリウム由来の油脂成分を栄養源として利用している点に着目し、オーランチオキトリウムの産生する油脂中に極めて生理活性の高い物質群を見出すことに成功した。この物質群を有用な化粧品添加原料成分として製品化したのが、前述のペンタデシルだ。

 「オーランチオキトリウムは、川が海に流れ出る河口部の汽水域やマングローブが生い茂る美しい南の海、日本近海など世界中の海に存在している。ペンタデシルには、石垣島沿岸の水深25メートル付近の海水から分離した国産のオーランチオキトリウムを使用している」(坂本直樹営業推進部原料営業グループ係長)



 ペンタデシルのシワ改善作用については、ペンタデシルが1%となるようにスクワランに溶解したプレミックス品を0.1%配合した化粧水(配合化粧水:ペンタデシルの濃度は0.001%)及びペンタデシル無配合化粧水を試験品とし、ヒト皮膚での有効性について目視評価とレプリカによる画像解析評価をそれぞれ行った(図1、図2)。

 目視評価の結果では、ペンタデシル配合化粧水を4週間塗布することで塗布前と比較し、有意な差をもってシワグレードが改善された。4週間塗布後のシワグレード変化量についても、ペンタデシル配合化粧水は無配合化粧水と比較し、有意な差での改善が認められた。

 レプリカによる画像解析評価の結果では、ペンタデシル配合化粧水を4週間塗布することで塗布前と比較し、「最大シワ最大深さ」の減少がみられ、シワの改善傾向が観察された。一方で、無配合化粧水4週間塗布では、塗布前と比較し、有意な差で「最大シワ最大深さ」が増加した。

 ペンタデシルによるシワ改善作用メカニズムの検討では、3次元培養表皮モデルによるTEWL値の改善をはじめ、正常ヒト角化細胞においてタイトジャンクション形成に関連する「クローディン1」やコーニファイドエンベロープ形成に関連する「インボルクリン・トランスグルタミネーゼ1」「フィラグリンタンパク質」の遺伝子発現量を増加することが確認された。

 また、Ⅰ型コラーゲンの産生促進と表皮のバリア機能を高めることで、水分保持と保湿性・柔軟性を維持し、こうした複合的な作用メカニズムから乾燥による小ジワの改善につながることが示唆される。

 「抗シワ製品評価ガイドラインに則った方法でヒトモニター試験を行い、0.001%の微配合でも乾燥による小ジワに対する改善効果が認められているほか、作用メカニズムに関する様々なバックデータを有しているため、単にシワ効果を訴求する原料と比べると大きなアドバンテージとなっている。また、昨年5月の販売開始で新規性が高いところもポイントで、今後のさらなる引き合いに期待している。昨今の市場ではコロナ禍でのマスク生活で、シワ関連のエイジングケアへの需要が高まっており、若いうちからのエイジングケアも盛り上がりをみせている。OEM事業も展開する我々としては今後、年代問わず幅広いターゲットに向け、日々変わりゆくトレンドに対応するための原料選定や製品の企画開発を進めていきたい」(伊東大輔営業推進部原料営業グループ係長)
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