新たなお客さまづくりの拡大領域
として「3G」の取り組みを推進
コーセーは、中期ビジョン「VISION 2026」の中で、グローバル・ジェンダー・ジェネレーションのそれぞれの頭文字をとった3Gを、新たなお客さまづくりの拡大領域とし、性別や年齢に捉われないアダプタビリティの考えに基づく取り組みを強化している。同時に、世界各地で環境や人権など様々な問題や課題が山積する中、同社は今から30年以上前の1991年に、CIの導入を契機に掲げた存在理念「英知と感性を融合し、独自の美しい価値と文化を創造する」とともに、コーポレートメッセージ「美しい知恵 人へ、地球へ。」を発信し、事業成長と持続可能な社会の実現の両立を目指し続けてきた。
この分野では業界のトップランナーであると自負する小林一俊社長に新年度の抱負についてインタビューした。
コスメデコルテが好調な中、
収益性はやや低下傾向に
――まず、2022年を振り返っていただけますか。
小林 日本経済は、ウィズコロナの新たな段階への移行が進められ、経済社会の正常化が進み、景気回復の兆しがみられましたが、資源価格上昇や日米金利差拡大を受けた円安によって物価上昇圧力がかかり、消費者心理を悪化させています。
当社グループが主に事業展開しているアジア・米国経済においては、中国では一部地域でゼロコロナ政策による経済活動抑制の影響が残るものの、緩慢ながら持ち直しの動きがみられます。それ以外のアジアでは着実に景気回復がみられ、米国においては、インフレに対して金融引き締め策が講じられ、景気下振れの懸念があります。
このような市場環境の中、当社グループの業績については、断続的なロックダウンの影響を受けた中国、免税事業が減速した韓国で売上が減少したものの、日本の専門店・百貨店チャネルにおけるハイプレステージ、欧米を中心に展開するタルトが業績を牽引したことにより、売上、利益とも伸長することができました。しかしながら、海外の収益性がやや低下傾向にあることや、年に2度の下方修正を行ったことも事実であり、強い危機感を持っています。「コスメデコルテ」が好調で、「アルビオン」も復調傾向にある中、利益水準については年初に目指した「リスクに強い企業への進化」という意味で課題を大きく残しました。
常日頃、社員に向けて「ピンチをチャンスに」と言い続けてきましたが、現在のコーセーは「チャンスをピンチに」してしまっているように見えます。今一度、気を引き締めて「リスクに強い企業への進化」を着実に進めていくことが必要であると考えています。
――ハイプレステージの動向はいかがですか。
小林 1~9月のハイプレステージの売上伸長率は全体で9.6%増となりました。「コスメデコルテ」が5.7%増と好調を維持する中、「ジルスチュアート」「アディクション」も2ケタ以上の高い伸長を記録しています。
コスメデコルテでは、21年9月に発売したブランドを象徴する美容液「リポソーム アドバンスト リペアセラム」がヒットし、発売から約1年1か月で累計販売個数が100万本を突破したほか、ベストコスメで90冠を受賞するなど、ブランドを牽引しています。