大日本印刷、サービス・製品の両面で環境課題の解決めざす

C&T 2023年9月15日号 14ページ

大日本印刷、サービス・製品の両面で環境課題の解決めざす
 大日本印刷(DNP)では、製品のCO₂排出量の算定と削減を支援するサービス(コンサルティング)と、地球環境への負荷低減を目指し開発・提供を強化している製品「DNP環境配慮パッケージング GREEN PACKAGING」(以下、GREEN PACKAGING)の両面から脱炭素社会・循環型社会・自然共生社会の実現に向けた取り組みを加速している。

 サービスでは、パッケージのCO₂排出量を可視化し、一般社団法人サステナブル経営推進機構(SuMPO)/第三者認証型カーボンフットプリント包括制度により承認された算定結果を提供する「DNPライフサイクルCO₂認証システム CO₂算定サービス」を2022年4月より提供している。

 23年7月からは新たに、パッケージ製造に関するCO₂排出量の算定に長年取り組んできたDNPと、化学業界を中心にカーボンニュートラルを支援してきた長瀬産業が両社の強みを掛け合わせ、ライフサイクル全体のカーボンフットプリントを算定する医薬・化粧品業界向けの協業コンサルティングサービスを開始した。

 同サービスの特長は、製品のカーボンフットプリントを算定するために必要なデータの収集方法や算定ロジックの確立など、内容物からパッケージまで企業が自立して算定できるよう支援するとともに、両社が保有する「CO₂排出係数」を用いた算出方法によって、内容物からパッケージまで含めた製品全体のより正確なカーボンフットプリントの算定を実現する。

 これにより、企業のCO₂削減の取り組みによる削減量を算定結果に反映するとともに、削減効果の高い取り組みの把握なども可能になるという。

 「当社は約25年前からパッケージに関するCO₂排出量の算定ノウハウを蓄積しており、パッケージを構成するある1つの素材を環境配慮素材へ変えたところまで細やかに精緻な算定ができることが強みで、企業の削減努力を見逃すことなくCO₂排出量を算定・反映できる。新たに開始したサービスは、両社が提供する容器や中身以外でも算定が可能で、既存の製品でどの素材がCO₂排出量が多いのかを容器と中身の双方で可視化する精度の高い製品カーボンフットプリントの算定が、製品全体での効果的なCO₂排出量の削減へとつながる」(同社)

 製品では、CO₂の削減・資源の循環・自然環境の保全という3つの価値を社会に提供するGREEN PACKAGINGが近年、化粧品・日用品業界での採用実績が着実に広がりをみせている。



 23年3月には、美粧性や遮光性に優れた「DNP機能性フィルム複合型PETボトル COMPLEX BOTTLE」(以下、コンプレックスボトル)が、クラシエホームプロダクツのヘアケアブランド「ココンシュペール」のアウトバス2品に採用された。

 コンプレックスボトルは、外装の着色フィルムを剥離して分別することが可能で、リサイクル性を阻害する着色顔料を容易に除去できるよう配慮している。外装フィルムを剥がしたボトル本体は無色透明のPET樹脂で構成されているため、高品質なリサイクル資源としての回収が期待される。

 「従来の樹脂製品で表現が難しい曲線を描くようなデザインにも幅広く対応でき、そうした点も選定に至った大きなポイントとなった。PETボトル技術を活用したコンプレックスボトルはこれまで、飲料での採用実績はあったが、化粧品では初の採用で、これを機に引き合いが増えている」(同社)



 GREEN PACKAGINGではこのほか、独自のコンバーティング技術による紙とフィルムの2層構成で、蒸着PETフィルムと同等のバリア性がありながらもプラスチック使用量とCO₂排出量を削減し、一次包材としても使用できる「DNPスーパーハイバリア紙包材」が、サプリメントを中心に引き合いが高まっているという。

 「紙マークを付与することが可能な設計で、従来のフィルムパッケージと比較してプラスチック使用量を約1/2に削減できるほか、利用事業者が負担する再商品化委託料(リサイクル委託費)を約1/40に軽減できるメリットもある。森林認証紙やバイオマスインキ、水性インキを組み合わせることで、より環境に配慮したパッケージ提案が可能だ」(同社)
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