香栄興業、SDGsの潮流捉えカスタムオーダー・発酵原料を拡販

週刊粧業 2023年12月4日号 7ページ

香栄興業、SDGsの潮流捉えカスタムオーダー・発酵原料を拡販
 香栄興業では、化粧品業界においてメインの潮流となりつつあるSDGsで停滞気味の需要を喚起すべく、原料選定から加工、分析まで行う「カスタムオーダー特注原料」の拡販に注力している。

 最近では、「安心・安全」や「高機能・高品質」という切り口が以前にも増して求められるようになる中、環境に配慮した原料を採用したいという要望が増えてきており、こうした声を成果に結びつけることで採用件数を着実に増やしている。

 「元々使われていなかった素材をエキス化するには、成分の有効性を最大限に引き出すための管理体制や、持続可能性の根幹となる安定供給体制を契約農家と一体となって構築していく必要があるが、独力で循環システムを構築するのは難しい。当社ではアップサイクルに向けてのノウハウも多く有しているので、まずは気軽に相談して欲しい」(技術部 三谷茂樹氏)

 ここ数年ラインナップの充実を図ってきた「植物発酵エキス」も、菌種と植物の組み合わせで独自性を発揮できることや、発酵エキス化することで機能性が高まり独自素材の幅が広がることへの周知が徐々に進み、採用件数が増加傾向にある。

 「カスタムオーダー特注原料の付加価値化の一環として発酵エキス化を図りたいという要望が増えている。様々なサポート体制を築いている点が大きな強みであり、こうした特徴が支持されている」(三谷氏)

 同社では、天然素材のスクリーニングで唯一有効性が見出された老化真皮線維芽細胞(ゾンビ細胞)を除去する素材である「オウレン」の研究成果に関して、IFSCC 2023 バルセロナ大会にてポスター発表を行った。酸化ストレスのほか、紫外線曝露など様々な刺激によるゾンビ細胞も除去することが新たに判明しており、引き続きゾンビ細胞やオウレンに関する研究成果を業界内に発信していく予定だ。

 今後については、昨年から稼働を開始した新工場(埼玉県加須市)の認知を広げ、製造キャパシティが増えたことをアピールするとともに、提案品の高付加価値化をさらに進めていく。また、顧客の要望にきめ細かく対応していくことで「植物発酵エキス」の採用件数をさらに増やしていく。

 「主力のホホバ油についても展示会を中心に拡販活動を進め、長年ご愛用いただいているお客様はもちろん、新規のお客様にもアプローチを図っていきたい」(藤倉努取締役)
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