木村産業は欧州のサステナビリティやSDGsのトレンドを踏まえた化粧品原料の普及に取り組んでいる。直近でドイツのBerg+Schmidt社が開発した天然由来のオイル増粘剤「FGGEL」のポテンシャルに注目し、販売を強化している。
オイル増粘剤は合成のものが多い。欧州では有機溶剤や有機系の原料を廃止する動きがあり、FGGELが開発された背景ともなっている。増粘剤の中には、合成物、動物由来のものもある。Berg+Schmidt社はグリセリンや脂肪酸を製造・販売しているが、近年は環境に優しい、持続可能性に寄与する原料の開発に力を入れている。
主に食品原料を取り扱うSternグループのメンバーであり、オリーブオイルの工場で発生した残滓を利用した、アップサイクル増粘剤を開発した。弾力のあるゼリー状であるが、圧力をかけると柔らかくなる「チキソトロピー性」を有し、化粧品原料として使いやすい。
コールドプロセスで、透明なオイルを製造できることも特徴の一つである。ホットプロセスではエネルギーを使用するが、その際の環境負荷を軽減できるというメリットがある。またクリームなどのリーブオン処方、クレンジングオイルなどのリンスオフ処方、両方への使用が可能である。
オイル増粘剤は透明でないものが多く、FGGELは希少な原料となっている。また、ホットプロセス、コールドプロセス両方に使用できる。クリーム以外の処方ではホモミキサーを必要としないことも特徴である。
増粘効果としては、様々な油系原料の増粘が可能となっている。ホホバ油、ヒマワリ種子油など天然由来オイルとの相性がよい。また、酸化チタン、酸化亜鉛を含む顔料、界面活性剤との相溶性の確認も取れており、幅広い処方に使用できる。
日本国内各所で、持続可能性を考慮し、植物由来原料の採用が検討されているが、障壁となっているのが、「機能性」と「価格」である。FGGELの場合、前述の通り、機能性を有しており、他の植物由来オイル増粘剤と比較し、価格も安価である。機能面、価格面での問題をクリアしているFGGELは、日本国内の需要にマッチした原料となっている。
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この記事は週刊粧業 2024年6月3日号 14ページ 掲載
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