天真堂・児玉社長に聞く、目指すは「流通革命」のパイオニア

C&T 2016年12月15日号 56ページ

天真堂・児玉社長に聞く、目指すは「流通革命」のパイオニア


「流通革命」で生活者に利便性を提供

 ――次に見据える「流通革命」とは、具体的にどのような取り組みでしょうか。

 児玉 当社では、「IoT」と「人工知能(AI)」の技術を搭載した容器を独自に開発し、2017年春を目途に商品化を進めている。この容器は現在、特許を申請中だ。

 新容器にはBlue tooth通信機能を搭載し、容器の蓋にあるセンサーと専用のアプリケーションとの連携によって商品の開封状態が確認できる。

 容器にIoTとAIの技術を応用することによって、クライアントが未開封のユーザーに対して商品の使用を促すためのプッシュ型提案が可能になる。

 しかも、新容器では基底部に搭載した光センサーが商品残量を自動で感知し、専用アプリケーションに転送されたデータをもとに人工知能がユーザーの商品消費を予測する。これにより、商品を使い終えるベストのタイミングでユーザーに購入アプローチができる。

 お客様とともに我々OEMメーカーが成長・発展するためには、このような商品をリピートしてもらうための仕組みを創造することが大切だ。化粧品通販ビジネスでは現在、定期購入が主流となっているが、同じユーザーでも1個の商品を使い切るタイミングはバラバラで、商品の未開封時や使い切った後で購入アプローチをしても、なかなか売上げに結びつきにくい。

 しかも、初回価格を定価から下げて複数回の購入を約束させる通販の販売手法が問題視されていることもあり、それに代わる新たな販売手法が求められている。

 こうした中で、「IoT」と「AI」の技術を応用した新容器を通じて最適な購入アプローチが可能になれば、メディアレーション(費用対効果)や商品購買率の数値は飛躍的に向上し、従来の通販ビジネスモデルを根底から覆す大きな変化を生み出せると期待している。

 世の中の容器が全てIoTとAIの技術を応用したものになれば、消費者とメーカーが直接契約し、商品残量を自動感知して商品が使い終わる頃に工場から自動的に配送され、不在の場合はポストへ投函されるという新しい通販ビジネスモデルが展開できる。これにより、消費者にとっては消耗品をお店にわざわざ買いに行かなくても済むし、商品を無駄に買い溜めする必要もなくなる。

 このようなユーザーの消費予測ができる通販ビジネスモデルが構築されれば、メーカーにとっては受注(計画)生産が可能になり、工場で今日作ったものがどこにも在庫として眠らずそのまま消費者のもとへと配達されるようになる。そうなれば、世の中の商品在庫は大幅な削減が見込めるだろう。

 メーカーにとって商品在庫が削減できれば、キャッシュフローが改善され、今以上によい商売ができるようになる。現状では倉庫が全国各地にあり、そこに届けなければならないメーカーも少なくない。

 必要な商品を、必要なときに、必要な分だけ提供できれば、消費者とメーカーの双方にとって非常に便利な世の中が実現できる。これこそが、我々が追い求めている「流通革命」の姿だ。

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