一丸ファルコス、加水分解ケラチンに速乾作用の新データを発見

C&T 2020年12月15日号 34ページ

カンタンに言うと

  • 新規育毛成分には「白髪抑制作用」を発見
一丸ファルコス、加水分解ケラチンに速乾作用の新データを発見
 化粧品・医薬部外品・健康食品分野で機能性原料の研究開発を行っている一丸ファルコスは、新規原料の開発を推進するとともに、既存原料に新たな効果を見出して価値向上を図っている。

 ヘアケア分野ではこのほど、羊毛由来の高分子加水分解ケラチンPPT(ポリペプチド)「プロティキュート」とカシミヤ毛由来の加水分解ケラチン「カシミヤコート」に、新たに「毛髪速乾作用」を確認した。「毛髪速乾作用」の動画データも公開している。

 「プロティキュート」は、毛髪成分に近い18種のアミノ酸組成で、髪と同じアミノ酸バランスの天然高分子ケラチンが、髪内部の繊維質(フィブリル)を補強・保護して髪にハリ・コシを与える。

 髪の補修力にすぐれ、カラーやブリーチ、パーマ処理などでダメージをうけた髪のケアだけでなく、健康な状態の髪に使用することで、外的要因による髪のダメージを予防することができる。

 「カシミヤコート」は、ブラッシングやドライヤー熱などによる「日常的な髪ダメージ」に着目した「プロティキュート」の姉妹製品。高分子ケラチンのプロティキュートに対し、カシミヤコートは中分子帯(Mw1000~10000)を中心に高分子から低分子までカバーする分子量の結晶性、非結晶性ケラチンの混合物からなる。羊毛と比べて軟質なタンパク質で、汎用性にすぐれ、多種多様なヘアケア商品に対応する。カシミヤ毛特有の柔らかな質感も特徴の1つである。

 今回、速乾作用の評価試験では、湿潤したブリーチ毛と、プロティキュートおよびカシミヤコートをそれぞれ1%添加した毛髪を、恒温恒湿度条件下(25℃、50%RH)で、一定の風を吹き付けることで乾燥させ、毛束重量の変化を測定し、速乾作用を評価した。

 「プロティキュートCガンマ12」を1%添加した毛髪は、ブリーチ毛に比べ、速乾時間が約40%減少することを確認した。

 また、カシミヤコートを1%添加した毛髪は、酸性条件下(pH3.6)での使用により、ブリーチ毛に比べて速乾時間を約30%減少した。

 さらに、ドライヤーを用いた温風乾燥の様子を撮影した動画データも取得し、視覚的に速乾作用を確認することができる。

 動画では、乾燥開始から2分30秒後、ブリーチ毛が毛束を形成したままであるのに対し、1%プロティキュートCガンマ12および1%カシミヤコートは、毛束がほぐれ、温風で毛先がなびいていることが確認できる。(図1)



 さらに、同社は他のヘアケア向け原料についても毛髪速乾作用を確認している。1%ポリリジン10と1%メドウラクトンVEを用いて同様の速乾作用の試験を行ったところ、カシミヤコートと同水準の速乾作用が確認された。(図2)

 以上の4つの毛髪速乾製品では、インバスタイプとアウトバスタイプの使い分けも可能である。

 また、育毛素材として注目されている国産クレソン由来「バージョンアップ」(表示名称:オランダカラシエキス)では、新たに「白髪化を予防する」効果を探求している。

 一般的な育毛剤に使われている有効成分は、ヘアサイクルの成長期を「護る」と「促す」の2タイプに分類できるが、「バージョンアップ」は、抜け毛を防ぐと同時に、毛乳頭細胞からの「RSPO1(R-spondin1)」の分泌を活性化し、発毛を促すという2つのアプローチを同時に実行する。

 RSPO1は、体中で器官の発生や組織再生にかかわるタンパク質で、再生医療分野で注目を集め、世界的に研究が進められている。

 そのRSPO1を活性化して「毛根を護り、発毛を促す」というハイブリッドな育毛原料は、海外でも高く評価され、19年から20年にかけて2つの国際的な化粧品原料見本市で賞を受賞している。

 再生医療研究でも注目されるタンパク質に発毛効果を見出したことに加え、「植物由来の成分でありながら、1~2%の少量添加で高い育毛・発毛効果が認められたことにも興味を持っていただけている」と同社は話す。

 さらに、バージョンアップは男性ホルモン(DHT)により誘発される脱毛因子(DKK1)の産生を抑制する効果も認められ、男性型脱毛症への効果も期待される。

 今回、2%バージョンアップの連用塗布によるヒトモニター試験にて、新たに白髪化予防効果の可能性を見出した。

 ヒトモニター試験では、連用開始から6カ月後、白髪化していた毛髪の根元が黒化している被験者がいることを確認。同社は、RSPO1やDKK1と毛髪メラニン形成との関係から、バージョンアップが白髪化を予防する可能性を理論構築し、11月に開催された世界最大の化粧品学術大会IFSCC 2020でも発表を行った。

 以上から、バージョンアップは、抜け毛を防いで発毛を促すと同時に、白髪の原因となるメラノサイトの機能低下を抑制したり、メラニン色素の産生を促したりする効果が期待できる。
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