花王、インドネシア小規模パーム農園支援の進捗を公表

粧業日報 2022年4月21日号 5ページ

花王、インドネシア小規模パーム農園支援の進捗を公表
 花王は、事業において最も関わりの大きい自然資本であるパーム油に対し、社会・環境の面から本質的な課題解決に向けて取り組む一環として、インドネシアの小規模パーム農園を支援しており、このほど、その進捗について公表した。

 同社では2020年10月より、油脂製品製造・販売会社のアピカルグループ、プランテーション会社のアジアンアグリの2社とともに、パーム油の持続可能なサプライチェーンの構築を目指し、インドネシアの小規模パーム農園の生産性向上、持続可能なパーム油に対する認証(RSPO認証)の取得を支援するプログラム「SMILE」を実施している。また、同じくインドネシアの小規模パーム農園を対象として、2022年夏のグリーバンスメカニズム(苦情処理メカニズム)の稼働を目指し、アンケート調査も実施している。

 「SMILE」では、2020年~2030年の11年間を実施期間とし、支援対象となる小規模パーム農園を訪問し、アジアンアグリの教育専門チームと花王インドネシア化学の社員が「持続可能な生産と生産性向上に関する教育」「RSPO認証取得に向けた支援」「安全な作業に関する教育とヘルメット・手袋といった安全対策器具の支給や消火器の設置」「機能性展着剤『アジュバントシリーズ』の無償提供と使用方法の指導」を行っている。

 最終的には、RSPO認証取得農園を約5000農園(農地面積:約1万8000ヘクタール)と目標に掲げる中、2022年中に約600農園でRSPO認証の取得を目指す。同社では認証を取得した小規模パーム農園が販売するRSPO認証クレジットの全量の購入を予定している。

 また、農園の生産性の向上と、農薬使用量の低減による収益改善や環境負荷の低減を目的とし、農薬散布時に薬剤を濡れ広がるように植物表面に展着させる「アジュバントシリーズ」を無償で提供し、使用方法を指導している。

 2022年2月からは北スマトラ州0.15ヘクタールで、最適な散布パターンを確認するためのテスト散布を開始した。組み合わせる除草剤の種類を変えるなど4カ月の実証実験で最適な散布パターンを選定し、順次農園に提供、除草剤と「アジュバントシリーズ」の混ぜ方など使用方法も指導していく。

 さらに、「SMILE」に参加する小規模パーム農園を対象に2022年夏にグリーバンスメカニズム(苦情処理メカニズム)の導入を予定している。想定される要望と対応方法を準備しておくため、「SMILE」とは別の活動として、小規模パーム農園の現状を把握するためのアンケート調査(2021年4~22年10月)を進めている。アンケート調査で得られた結果は、「SMILE」での支援活動にも活用する。

 対象小規模パーム農園数は700農園で、小規模パーム農園の現状を把握することが目的のため、「SMILE」の対象ではない農園を選定して行われている。

 第1回のリアウ州での調査では、世帯収入は年間36万円未満とインドネシアでは低所得者層にあたり、最終学歴は小学校が最も多く、農地面積は2ヘクタール以上5ヘクタール未満が約55%と半数を占めた。年間の平均収穫量は12トン/ヘクタール(大手プランテーションの約半分)が最も多く、単位当たりの採算性が低く農業技術レベル向上の必要性が窺える結果となった。

 生産性向上・植え替えに向けては資金不足、肥料・農薬の価格の高さ、RSPO認証については情報不足、取得にあたっての認識不足といった課題が浮き彫りになった。
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