ポーラ化成、皮膚常在細菌「S.ホミニス」が美肌に導くことを発見

粧業日報 2023年1月11日号 4ページ

ポーラ化成、皮膚常在細菌「S.ホミニス」が美肌に導くことを発見
 ポーラ化成工業は、皮膚に共存するS.ホミニスと肌状態の関係性を研究し、「肌の状態が良い人はS.ホミニスが肌上に多く、S.ホミニスが毛穴等の改善効果を有すること」を解明するとともに、「S.ホミニスの増殖を促すエキス、肌トラブルの原因細菌の増殖を阻害できるエキス」を発見した。

 近年、腸内フローラの研究が盛んとなり、ヒトと共存する細菌の生体への重要性が明らかとなりつつある。同社では、「肌状態も細菌の影響を受ける」との仮説を立て、研究を進めてきた。

 まず、約300名の女性を対象に、肌状態を種々の方法で測定するとともに、肌上の細菌の種類と量を調べ、肌と細菌の関連性を解析した結果、良い肌状態と関連する細菌が実に数百種も見つかった。

 中でも特にS.ホミニスという細菌は、肌の形態(目立つ毛穴の数)、色味、肌の機能(バリア機能)などの肌状態が良い人の肌に多く存在することを発見した。

 次に、S.ホミニスが実際に肌を改善するのかを明らかにするため、S.ホミニスを含む化粧水を頬部に1カ月間塗り、塗らなかった場合と比較解析した。その結果、「目立つ毛穴の数」「メラニン量」「シワ本数」に改善が認められた。このことから、肌上のS.ホミニスが肌に良い影響を与える細菌であることが証明された。

 日常的に、直接S.ホミニスを肌に塗り続けることは、保管方法やコストの面で負担になるため、各個人の肌上に存在するS.ホミニスを増やすことを考え、さまざまな成分を探索した結果、ユズ果実エキスが有効であることを見出した。さらに、S.ホミニスの増殖は抑制することなく、肌に悪影響を与えることが報告されているS.アウレウスの増殖を抑制するエキスも明らかにした。

 これらの研究により、「S.ホミニスは増やし、S.アウレウスは増やさない」といった複数の細菌をコントロールする肌ケアの可能性が見出された。

注目の皮膚常在細菌「Sホミニス」の効果、メリット、デメリット、関連化粧品を解説!

皮膚常在細菌「S.ホミニス(Staphylococcus hominis)」とは?


「S.ホミニス」(スタフィロコッカス・ホミニス)は、人の皮膚に常在するグラム陽性菌の一種で、特に皮脂腺の多い部位(顔、胸、背中など)に生息しています。

最近の研究では、S.ホミニスが皮膚の健康をサポートする可能性があるとして注目されています。



S.ホミニスの効果・メリット


① ニキビの原因菌「C.アクネス」を抑える


S.ホミニスは、抗菌ペプチドを産生することが知られており、ニキビの原因となるC.アクネス(Cutibacterium acnes)の増殖を抑える働きがあります。これにより、ニキビの発生を防ぐ効果が期待されています。


② 皮膚のバリア機能をサポート


S.ホミニスは、皮膚のpHを適切に保つことで、外部刺激や乾燥から肌を守る役割を果たします。


③ 皮膚の炎症を抑える可能性


研究によると、S.ホミニスは免疫応答を調整し、炎症を抑える作用を持つ可能性が示唆されています。これにより、敏感肌やアトピー性皮膚炎などの炎症性皮膚疾患の緩和に役立つ可能性があります。


④ 体臭を抑える可能性


S.ホミニスには、他の細菌が原因で発生する不快な体臭を抑制する働きがあるとされています。そのため、デオドラント製品への応用も期待されています。


S.ホミニスのデメリット・注意点


① 悪玉菌化すると感染症を引き起こす可能性


S.ホミニスは通常、皮膚にとって有益な常在菌ですが、免疫が低下した状態や皮膚バリアが損なわれた場合に、日和見感染(弱った体に感染を起こすこと)を引き起こす可能性があります。特に、医療機関での感染症(手術後の感染など)が報告されています。


② 一部の人ではアレルギー反応を引き起こす可能性


常在菌は個人差が大きく、S.ホミニスが特定の人のアレルギー反応や皮膚炎を引き起こす可能性があります。そのため、新しいスキンケア製品などでS.ホミニスを利用する場合は、肌に合うかどうか注意が必要です。


③ すべての人に効果があるとは限らない


皮膚の常在菌バランスは個人によって異なり、S.ホミニスが増えたからといって、必ずしもニキビや肌トラブルが改善するわけではありません。他の細菌とのバランスも重要になります。


まとめ:S.ホミニスの活用は今後に期待!


メリット:ニキビ予防、皮膚バリアの強化、炎症抑制、体臭防止の可能性があります。


デメリット:日和見感染のリスク、アレルギー反応の可能性、個人差があります。


最近では、S.ホミニスを利用したスキンケア製品の研究も進められているので、今後、ニキビケアや敏感肌向けの化粧品として活用される可能性が高いです。


「S.ホミニス」に関連する化粧品を紹介!




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