RAPHAS JAPAN(ラパスジャパン)は、ドラッグデリバリーシステム(DDS)の一種で、医薬品・医療機器で活用されている「溶解性マイクロニードル」を用いて、美容成分を効率よく肌に届け、浸透力と安定性に優れたマイクロニードルパッチ化粧品の製造・販売事業を展開している。
3小間を構える今展示会では、独自の特許製法によって、レチノールを安定化させてマイクロニードル化することに世界で初めて成功した「安定化レチノール配合マイクロニードルパッチ化粧品」をはじめ、アクネケアやシミ対策など各種アイテムを幅広く提案する。
今展示会の主な見どころについて、権有利(グォン・ユリ)社長に話を伺った。
有効性と安全性を追求し
医薬品分野の開発に注力
――「溶解性マイクロニードル」に関しては、どのような研究が進められていますか。
権 当社では現在、医療機器生産施設レベルのクリーンルームと製造ラインの全自動化を実現した静岡工場で、メイドインジャパンのマイクロニードルパッチ化粧品を製造している。静岡工場には研究所を併設しており、「溶解性マイクロニードル」をもとに、バイオ医薬品や免疫治療薬、ワクチンパッチなど医薬品の研究開発も行っている。
医薬品としてのマイクロニードルはこれまで、薬剤の浸透率とマイクロニードル化できる薬剤の種類にも限りがあるなど課題があった。そこで、昨年7月には当社と浜松医科大学皮膚科、静岡県立大学薬学部の3者で、溶解性マイクロニードルの有効性と安全性評価などを行う共同研究がスタートした。
研究助成金の対象にもなっている今回の共同研究では、薬剤の浸透率と拡散性を高める新たなアプローチと配合可能な成分の可能性を広げることを目的とし、投与したときの有効性と安全性の評価を行い、新たな治療薬の開発を目指している。
医薬品分野では今後、日本の製薬メーカーと今年から共同開発がスタートする予定で、医薬品の商用化に向けた動きが本格的に進んでいく見通しだ。安全性と浸透性で明確な裏付けがある医薬品で得られた知見をもとに、当社の化粧品はこれまで以上にレベルアップしていくものと期待している。
――肌への浸透力を持つマイクロニードルパッチを開発するうえで、重要となるポイントについてお聞かせください。
権 マイクロニードルは本来、DDSとして開発されたものであり、中に入る成分の安定性に加えて、どこまで成分が肌に浸透・吸収されるかが肝になる。
ただし、マイクロニードルの針の間隔があまりにも密集していると肌の中に成分が入りにくいことが確認されている。単に針の本数が多ければ浸透力が高いということではなく、正しい間隔で皮膚の弾力も考慮しながら最適な形状や強度、長さで設計することが重要だ。
当社では、有効成分を金型に流し込んで熱などで固める従来の製法とは異なり、金型が不要で成型時に常温の風で乾燥させて温度が一切変化しない製法特許技術「DEN方式」により、熱やUVに弱い有効成分の配合が可能だ。
そのため、一般的なマイクロニードルパッチと比較してニードルの長さや形状、配合成分まで様々なバリエーションの製品が開発できる。
さらに、当社ではパッチを貼り続けても肌荒れが起きにくいよう、医薬品で使用されるレベルのパッチ素材を導入しており、ニードルだけでなくパッチ素材に至るまでこだわり抜いている。
レチノール以外にアクネケアや
シミ対策などのアイテムも紹介
――今展示会の見どころをお聞かせください。
権 シワとシミ、弾力にアプローチするレチノールはこれまで、酸化しやすく変質しやすいといった課題があり、安定化することが難しかった。しかし、当社では独自の特許製法によって、レチノールを安定化させてマイクロニードル化することに世界で初めて成功した。
アメリカや韓国では、安定化したレチノール配合のマイクロニードルパッチが既に市場で展開されており、着実に広がりをみせている。日本では今年1~2月に本格的に展開し、今展示会でもアピールしていきたい。
レチノールを配合した化粧品はこれまで、1~2カ月以上も継続使用しなければ効果実感が得られないものが多かったが、安定化したレチノール配合のマイクロニードルパッチを使用した人の中には、1回で肌のリフティングを体感されるケースもある。マイクロニードルパッチは一般市場でもまだ製品が少ないため、今展示会では認知と体感をテーマにサンプルを配布し、実際に試せるスペースを用意している。
レチノール以外では、コロナ禍でのマスク着用によりニキビなどの肌トラブルに悩む人が増加していることから、昨年の販売実績が前年比5倍以上となったアクネケアのマイクロニードルパッチと、ニキビ跡(色素沈着)をケアするシミ対策のマイクロニードルパッチなどをブースで紹介する。
肌全体の老化による悩みにはレチノールを、端的に起きている悩みにはアクネケアとシミ対策を訴求していきたい。