プラシーズ、環境対応品もプラと紙の双方で開発推進

C&T 2023年9月15日号 18ページ

カンタンに言うと

  • 脱プラで「紙器」の需要拡大、コスト削減や付加価値化も実現
プラシーズ、環境対応品もプラと紙の双方で開発推進
 化粧品容器メーカーのプラシーズは、プラスチック製品と紙器をそれぞれ一貫生産できる体制を強みに、様々な環境対応素材を用いて脱プラ・減プラにつながる化粧品容器の開発を進めている。

 2023年8月には、CO₂排出量を大幅に削減できる高機能バイオ素材「NeCycle(ニューサイクル)」を使用し、高級感と環境へのやさしさを両立する次世代の化粧品容器の開発に成功したことを発表した。

 「NeCycle」は、NECが研究開発した高機能バイオ素材で、一般的なプラスチック素材と比べて CO₂排出量を約40%削減できる。同社はプラスチック代替素材としてNeCycleに着目し、2019年より開発に取り組んでいた。シリーズ第1弾として、NeCycleを用いたキャップを開発し、環境に配慮したボトルと組み合わせた新製品を2024年に販売する予定だ。

 同社は、NeCycle以外に、プラスチック代替となる環境に配慮した素材として「中間移行材(移行材)」や「ケミカルリサイクル樹脂」を用いた化粧品容器の開発を進めている。

 「移行材」とは、製造工程で発生する規格外材料のことで、通常は廃棄される。同社は樹脂材料メーカーと共同で、移行材を再利用し、新たに化粧品容器の製造を開始した。移行材を採用した企業には、PL証明書やエコマークなどの取得もサポートしている。

 樹脂工場では年間約100tの規格外材料が廃棄されており、同社がそれを化粧品容器の製造に用いることで廃棄樹脂の削減につなげる。もともと廃棄していた樹脂材料のため、通常の樹脂材料と比べて価格が安く、コストパフォーマンスの高い環境対応容器が完成する。

 その他、環境対応容器では、バイオマス樹脂100%を用いた化粧品容器も提案する。プラスチックの透明度を維持するためにバイオマス配合比率10~30%のものが多いが、100%バイオマス樹脂で透明感を追求した化粧品容器の開発に成功している。

 田中雄一会長は、「環境に配慮した容器も当社の開発技術を生かして、独自性の高いものを提案できるようになってきた。製品化も決まってきている」と述べ、「既に新しいプラスチック代替容器の開発にも取り組んでいる。来年の発表を目指し、新製品の開発を進めていきたい」と話した。



脱プラで「紙器」の需要拡大
コスト削減や付加価値化も実現

 紙製の容器(紙器)では、「パルプモールド」や「マプカ」など古紙を用いた環境対応素材で開発を進めている。紙器は、プラスチックのような金型が不要で、初期投資を抑えつつ、オリジナリティのある容器を作ることができる。

 田中会長は、「世界的に脱プラのムードが高まる中、プラスチック使用量を減らす取り組みで、紙器への関心が高まっている。当社への相談・問い合わせも紙製容器に関するものが多い」と話し、化粧品容器として紙器の可能性を広げていく考えを示している。

 その中で提案を強化しているのが、「薄型パルプモールドケース」だ。サンプルセットなどで、これまでプラスチックが用いられていた中枠をパルプモールドに切り替えることで、プラスチックを使用しないサンプルセットとしてブランドのイメージアップも同時に図ることができる。メール便に対応する薄型設計なので輸送コストを軽減し、CO₂削減にも寄与する。

 また、同社は昨年、可燃ごみとしてそのまま廃棄できる「紙製繰出式口紅容器」の開発に成功している。繰出式の口紅容器で、製品を丸ごと可燃ごみとして廃棄できるものはこれまで存在せず、「世界初」の触れ込みで紹介して注目を集めた。問い合わせなどの反響も大きいという。

 紙製繰出式口紅容器は、繰り出し部分に紙を51%含んだ環境対応素材「マプカ」を用いることで、廃棄する際、各パーツを分別せず、そのまま可燃物として捨てることができる。

 今春には、「直接充填タイプ」も新たに開発した。紙製繰出式口紅容器の充填方法を選べるようになり、口紅・リップクリームからコンシーラー、スティックバームなど用途の幅を広げることができる。

 田中会長は、「紙とプラスチックの双方から化粧品容器の開発・提案ができる強みを最大限に活かして、今後も新製品の開発を推進していく」と話す。自社の環境対応品の理解促進に向けては、ブログやメルマガを活用して化粧品容器のトレンドや容器選びのポイントなどと一緒に、情報発信も強化している。
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