皮膚科学研究の発展に向けて、化粧品研究・開発のコンサルティング事業を展開するCIEL(本社=東京)と、有効性・安全性評価試験を行うDRC(本社=大阪)が今年1月、業務提携を結んだ。お互いのリソースを有効活用することで、企業の大小を問わず、商品の安全性や有効性を担保できる環境を整えていく。
今年度は2020年に両社とフランスのWepredic社とで設立したヒト摘出皮膚を用いたex vivo評価試験を行う研究施設「SOLA」(所在地=仏国)を有効利用した化粧品開発のサポートに改めて力を入れる。4月16~18日、パリで開催される「in-cosmetics global」に、ヒト摘出皮膚の提供元であるWepredicグループとSOLAとで出展する。
CIELの岡野由利氏は、「皮膚は本来、オーケストラのように多くの種類の細胞などの要素が合わさって、その機能を発揮するものであるが、従来の評価試験は各楽器パートを1つずつ確認するような作業だった。表皮から真皮・脂肪層や血管の細胞までの組織全体が存在するヒト摘出皮膚を用いることで、製剤が肌で効果を発揮するメカニズムの全体を評価することができる。また刺激性やアレルギーなど安全性の評価に応用できる可能性があり、多くの企業に関心を持っていただけている」と述べ、日本市場でのex vivo試験の普及に力を入れていく。
DRCの髙野憲一社長は、「ヒト臨床試験は、安全性を確認してから有効性試験を行うが、ヒト摘出皮膚を用いた試験では同時並行で安全性と有効性の評価試験を行うことが可能だ」と話し、商品開発のスピードアップにも貢献できるとした。今後は、3社連携で、取り扱うヒト摘出皮膚の長期維持培養を図り、ex vivo試験の可能性を広げていく考えだ。
この記事は週刊粧業 2024年4月8日号 18ページ 掲載
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