はじめに 普通の少女が変身して悪と戦うアニメのプリキュアが人気だが、昨年累計1000万PVを記録した「VOCE」のウェブサイト漫画「僕はメイクしてみることにした」もヒットし、単行本はAmazonランキング・コミック総合で1位を獲得した。 弊社の化粧水「サンラバー」も大学生協で男子学生が購入しているようだが、この漫画の主人公は38歳独身男性のサラリーマンで、ふとしたきっかけでメイクの世界にどん...
【C&T2024年1月号6面にて掲載】はじめに サイの角の成分は骨ではない。角質で人間の髪に近いものであることをご存じだろうか。角は工芸品にも使われており、今でも薬になると信じているヒトがいるため、この2つの理由で今もサイの密漁が後を絶たない。 その私たちヒトの髪は1カ月に約1㎝伸びる。1日に換算すると0.33㎜だ。1本で考えるとたいしたことはないが、髪は10万本ありそれが一斉に伸び...
【C&T2023年10月号7面にて掲載】はじめに 私たちが毎日使うヘアドライヤーの市場規模は決して大きくはない。2022年度の主要製品の国内出荷金額は、電気シェーバーが約464億円(前年度比1.8%増)に対して、ヘアドライヤーもこれとほぼ同じ約420億円(同28.9%増)となっている。1台あたりの価格は2000~3000円のものから10万円を超えるものまであり、機能も様々だ。 髪の静...
【C&T2023年7月号6面にて掲載】はじめに 少し前になるが、野球のWBCで盛り上がっている最中の2月16日、大谷翔平選手は自身のInstagramアカウントからロッカールームの画像を投稿した(図1)。その画像には、「コスメデコルテ」の化粧水とクリームが小さく写り込んでいた。 この投稿がSNSで大きく話題になり、「大谷選手が愛用している商品」ということで、売り上げを伸ばしたと友人か...
【C&T2023年4月号6面にて掲載】はじめに 洗浄剤において、石鹸に次いで馴染み深い商品はシャンプーだろう。シャンプー(Shampoo)は元々、「押す」を意味するインドのヒンディー語で、お湯やハーブを使ってヘッドマッサージをするという意味で使われるようになり、そこから転じて洗髪剤を指す言葉になったといわれている。 髪は櫛で梳くことはあっても、実は人類の歴史であまり髪を洗うという習慣...
【C&T2023年1月号6面にて掲載】はじめに 最初にBTSをご存じだろうか? BCGではない。BCGは結核を予防するワクチンの通称であり、このワクチンを開発したフランスのパスツール研究所の研究者の名前を冠した菌・Bacille Calmette-Guerin(カルメットとゲランの菌)の頭文字だ。 BTSとはLINEの2022年10月の調査で、30代女性「男性アイドルグループ人気ラン...
【C&T2022年10月号7面にて掲載】はじめに 私の好きな言葉がある。『お金がお金を連れてくるのやない。人がお金を運んでくるのや。つまりお金連れてくる人間様に真心を尽くすしかない』とは7年前のNHK朝ドラ「あさが来た」のモデルだった広岡浅子の言葉だ。 彼女は明治に大同生命保険や日本女子大学を発起した一人だった。“ほんまやわぁ~お金に限らず、物やサービスを売ったり、買ったり、楽しんだ...
【C&T2022年7月号6面にて掲載】はじめに 琉球大学ベンチャーとして会社を起業して5年が過ぎた。こちらに住んでわかったことがある。例えば…… 沖縄にはスギ花粉症の原因となる杉がないので、スギ花粉症の人は沖縄に行っている間は、悩まされることがない。Yという字が入ったナンバーの車をよくみかける。 これは、米軍の軍人さんとその家族が、日本で買った車につけるナンバーのことだ。紙パック牛乳...
【C&T2022年4月号6面にて掲載】はじめに 体の中で「一番大きな器官」は、肺臓でも、肝臓でもなく、皮膚である。成人の場合は全身の皮膚を広げると、たたみ一畳分の面積(約1.6㎡)がある。重さは成人で心臓が約0.3kg、肝臓が約1.5kgに対して、皮膚は体全体で約3~4㎏にもなる。 よく「面の皮が厚い」と表現するが、医学的には性格と皮膚の厚さは関係ない。厚かましい人でも、そうでない人...
はじめに 振り返れば、この2年間は新型コロナウイルスに振り回されっぱなしだった。経済産業省の2020年のデータ1)では、化粧品出荷額は大きく落ち込み、2014年と同水準にまで低下した(図1)。 訪日外国人消費の減少が大きく影響し、その分輸出額は増加となっており、国内と比べ海外市場は比較的堅調だった。外出時のマスク着用で口元が隠れることから、口紅の需要も大きく減った(図2)。 民間調査会社の発...
【C&T2021年10月号7面にて掲載】はじめに 私は仕事の拠点が大学にあるため、学生と接する機会が多い。彼らは小学生の時からYouTubeを見て育ち、子供の頃、我が家に白黒テレビがやって来た私の時代とは違う。 パソコンではなく、スマホやiPadを用いて提出レポートの作成にとどまらず、漫画を描いたり作曲したり自由に使いこなす。なぜなら「マウスを使うより指の方が早い」かららしい。 変わ...
【C&T2021年7月号6面にて掲載】はじめに 台湾の鴻海精密工業(フォックスコン・テクノロジー・グループ)傘下の電機メーカー・シャープの社名は、「シャープペンシル」に由来していたことをご存じだろうか。 1915年(大正4年)に金属文具の製作技術の研究改良を進め、金属性の繰り出し鉛筆を発明した。さらに改良を重ね、1916年(大正5年)にエバー・レディー・シャープペンシルと名づけて一世...
【C&T2021年4月号7面にて掲載】はじめに コロナ禍という世界的な規模の試練が、まだまだ終わりの見えない状況にある。国や自治体、大企業や零細企業すべての人々が、猛スピードの変化の中にある。 これまで「不況知らず」と言われてきた化粧品業界が、大きな転換点を迎えている。マスク着用の日常化、不要不急の外出を控えるなど新しい生活スタイルへのシフトにより、マスクメイクが雑誌で取り上げられる...
【C&T2021年1月号7面にて掲載】はじめに 大正時代を舞台に主人公が鬼と化した妹を人間に戻す方法を探すために、戦う姿を描いているアニメ「鬼滅の刃」が大ヒットしている(図1)。 シリーズ累計発行部数は単行本22巻の発売時点で1億部を突破した。いつの間にか鬼滅世界にのめり込んでしまった方も多いのではないだろうか。 しかし、初版300万部の社会現象と言われるほど人気が出ても、はっきりと...
【C&T2020年10月号9面にて掲載】はじめに 地球の公転、四季の変化に対応して、毛髪の伸び方にもリズムがあることをご存じだろうか。髭の伸び方の研究で、冬の1月には0.305㎜/日しか伸びないが、夏の8月には0.538㎜/日も成長するという。 他にも、心臓の拍動や体温は夏が高く冬は低い律動があり、これらの季節変化は、赤ん坊には存在せずしだいに体得する後天的バイオリズムらしい。 今回...
【C&T2020年7月号6面にて掲載】はじめに イソップ童話の「うさぎとかめ」は、足の速いウサギと遅いカメが競走し、油断して眠ったウサギに、カメが勝利する物語だ(図1)。ゆっくりでも着実に前進する大切さを伝える話とされる。これは世界的に有名だが、人や国によって解釈が異なるようだ。 ある国際会議で、エジプトの学者はウサギとカメの競走自体が愚かだと力説し、ウサギにもカメにもそれぞれ良さが...
【C&T2020年4月号7面にて掲載】はじめに 天然志向の化粧品に好まれていない合成品が、新しい未来を拓いた意外なエピソードをまずは述べたい。 20世紀の良品1)の1つに香水のCHANEL No.5があった(図1)。マリリン・モンローの「寝る時はCHANEL No.5」の名言をご記憶と思う。英語では香水を「付ける」にwearを使う、つまり彼女は「着る」という言葉を掛けて軽妙に答えた。...
【C&T2020年1月号7面にて掲載】はじめに 昭和の男性アスリートたちがしなかったことに、髪染めがある。1998年のW杯のとき、中田英寿が1人金髪に染めて出場し、プレーでも髪の色でも目立って海外のスカウティングの目に留まる為に染めたと言っていた(図1)。海外の人から見たら、日本人はみんな同じ顔に見えるらしい。図1 98年FIFAワールドカップフランス大会の中田英寿 黒人が同じように...
【C&T2019年10月号7面にて掲載】はじめに 私たちの体には、ウイルスや細菌などの異物が入ってきたときに体内で「抗体」がつくられ、これらの外敵をやっつけようとする「免疫」という仕組みが備わっている。 ところが、この免疫の仕組みが食べ物や花粉など私たちの体に害を与えない物質に対しても「有害な物質だ!」と過剰に反応し、攻撃をし過ぎる結果、逆にマイナスの症状を引き起こしてしまうのが「ア...
【C&T2019年7月号6面にて掲載】はじめに NHKのアナウンサーは「ヘアムース」と言わない。資生堂の登録商標だからである。泡状整髪料というらしい。そこまで厳格にルールを守るのかと感心する。 一方で、私たちは便利な暮らしの中で、ルールを守ってどれだけ廃棄をしているだろうか。不燃ごみの中で、中身が残っている化粧品として、口紅、グロス(液体口紅)、マニキュア、アイシャドー、ファンデーシ...
【C&T2019年4月号7面にて掲載】はじめに 沖縄は、韓国と中国のように2月の旧正月も祝う。明治政府によって廃藩置県で正式に日本国になったが、もともとは鎖国政策の本土とは別で、東南アジア交易で栄えた万国津梁の450年続いた琉球王国であった。開国させたペリーは、ひと月ほど前に琉球に立ち寄ってから浦賀沖に来ている。 では、その沖縄の文化って何だろうか?中国の三弦(さんしぇん)からニシキ...
【C&T2019年1月号7面にて掲載】はじめに 漫画「サザエさん」の主人公・フグ田サザエさんの年齢は、何歳かご存知だろうか? 答えは、1922年(大正11年)11月22日生まれの27歳、アニメ版では未年生まれの24歳だそうだ。えっそんなに若いの! って思ってしまう。その理由は、彼女の特徴の1つである頭の三方(前頭部・左右の側頭部)にパーマをかけたヘアスタイルではないだろうか。 原作者...
【C&T2018年10月号6面にて掲載】はじめに 毎日平均1700のカップルが結婚している。しかし残念ながら3組に1組が離婚している。そのためなのか、永遠の愛とは言わないけれど、今時の男子は恋愛に全く興味のない「絶食男子」が多いらしい。 ではこれまでにいわれていた「草食男子」との違いは何だろうか? 回答は「草食系は恋愛に奥手なだけでまだマシだけど、絶食系はもはや女性に心を閉ざしている...
【C&T2018年7月号6面にて掲載】はじめに 日やけの季節真っ只中のこの時期、「色黒男子」VS「色白男子」、果たして女性はどちらの男性が好きなタイプなのだろうか?1)「色白男子」……55.7%「色黒男子」……44.3% 拮抗する結果だが、「色白」を支持する女性が若干多いようだ。とはいえ両者ともに支持する女性がいる。では、その回答を選んだそれぞれの理由はというと、「男ら...
【C&T2018年4月号7面にて掲載】はじめに 自動運転や囲碁などで注目されている人工知能(Artificial Intelligence、以下、AI)は、第3次AIブームと言われている(図1)。過去2回は期待されながら失敗している。その原因は、判断ポイント(特徴量)を人間が教えていてAIは考えて行動しなかったことにあった。 予め人間の手で打ち出されたプログラムに従って、機械的に処理...
【C&T2018年1月号7面にて掲載】はじめに 政府が立ち上げた「人生100年構想会議」メンバーのリンダ・グラットン氏が用意したプレゼンテーション資料を見ると、2007年に生まれた日本人(現在10歳くらいの子供)の寿命は、107歳になるのではないかという推計が示された。読者諸氏は、そこまで長生きしないだろうと思うかもしれないが、「人生は、思っていたよりも長い」という現実に直面する覚悟...
【C&T2017年10月号8面にて掲載】はじめに ポーラから2017年1月に発売された、医薬部外品の「リンクルショットメディカルセラム」(図1)は、女性をターゲットにしていたはずだった。図1 POLA「リンクルショットメディカルセラム」1) しかし、20gで1万円を超える美容液の1割は男性が購入している。やはり男性であっても、日本初のシワ改善を訴求した商品を求めるのは、本物志向の表れ...
【C&T2017年7月号7面にて掲載】はじめに 今から1000年ほど前の平安時代、不倫のバイブルともいえる!?「和泉式部日記」、デキる女子の前向きブログのような清少納言の「枕草子」、元祖こじらせ女子の宮仕えをつづった「紫式部日記」など---。彼女たちは天皇に仕えていた女性として、京の都で貴族たちと華やかに暮らしていた。 この時期に日本の風土や暮らしに合った文化が生まれた。漢字を基にし...
【C&T2017年4月号7面にて掲載】はじめに 女性はいつの時代もいつまでも綺麗に年を重ねていきたい。今は便利な商品が様々出回っているが、だんだん自分には何が合っているのかわからず、化粧品ジプシーになってしまった方は、改めて見直してほしい。昔からずっと愛され続けているロングセラーコスメは、どれもドラッグストアで手に入るものばかりだ。 春・秋に新製品が生まれては消える化粧品の世界で、発...
【C&T2017年1月号8面にて掲載】はじめに 昨秋は、大隅良典氏の3年連続ノーベル賞受賞に日本中が沸いた。科学技術の先進立国であることを誇りとしたメディアの論調も多かった。 しかし、第1回の候補者は日本人だったし3度の候補者もいた。それは北里柴三郎と野口英世である。北里はドイツ留学中の1890年に血清療法をジフテリアに応用し、同僚であったベーリングと連名で論文を発表した。第1回ノー...
島田邦男
琉球ボーテ(株) 代表取締役
1955年東京生まれ 工学博士
大分大学大学院工学研究科卒業、化粧品会社勤務を経て日油㈱を2014年退職。
日本化粧品技術者会東京支部常議員、日本油化学会関東支部副支部長、日中化粧品国際交流協会専門家委員、東京農業大学客員教授。
日油筑波研究所でグループリーダーとしてリン脂質ポリマーの評価研究を実施。
日本油化学会エディター賞受賞。経済産業省 特許出願技術動向調査委員を歴任。
主な著書に
「Nanotechnology for Producing Novel Cosmetics in Japan」((株)シーエムシー出版)
「Formulas,Ingredients and Production of Cosmetics」(Springer-Veriag GmbH) 他多数
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