花王・澤田道隆社長、「やるリスクを取れるような仕組みを構築」

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花王・澤田道隆社長、「やるリスクを取れるような仕組みを構築」

 花王は、「グローバルで存在感のある会社」を目指し、「グローバル拡大」「ファブリック&ホームケアの盤石化、ビューティ&ヒューマンヘルスケアの利益ある成長」「ケミカルの強化」の3つを成長戦略に位置づけている。今年度は、グローバルで存在感を出していくための根幹を支える“よきモノづくり”を強化すべく、「やるリスク」を取れるような仕組みを経営トップが先頭に立って構築していくという。澤田道隆社長に2012年の回顧と2013年の基本方針を中心にインタビューした。

「やるリスク」を取る道筋つけ
研究開発の「宝の山」を活性化

 ――研究開発における国内外の課題についてはいかがですか。

 澤田 研究開発の「宝の山」を掘り起こしていくためには、経営トップが明確に、どのように成長していくのかを語ることが必要です。明確な方針が示されない中では、判断に迷う局面において「やらないリスク」を取ると思います。

 私が「宝の山」といっている技術はたくさんありますが、技術はあくまでも手段であり、技術を商品にして商品を価値にする過程において、必ずもう一段高いハードルがあります。その際に個人で判断しろと言われても無理ですので、「やらないリスク」を取るのは致し方がないと思います。

 やらなければ確かに失敗は起きませんが、やらないリスクばかりを取っていたのでは、それが致命傷になりかねません。ですので、どのようにして「やるリスク」を取る道筋をつけていくのかが、研究開発の「宝の山」を活性化させるには大切なポイントになります。

 リスクを取るための道筋をつけるためには、 研究の中身を知り、その目利きができないといけませんが、どの技術がどこにあるのか私自身、大抵のことはわかっていますので、しっかり覚えている今こそ動き出すには絶好のタイミングです。

 どんな技術が潜んでいるのかを探るために、定期的に研究所員を呼んで、本社で議論をしていますが、まだ目利きができるうちにたくさんの現場の声を聞くように努めています。これが一番重要ではないかと思います。当社の研究員はやれと言われればいくらでもやるし、それぐらいのレベルは備わっていると確信しています。

 ――今年(2013年)の抱負をお聞かせ下さい。

 澤田 先ほども申し述べましたが、「やらないリスク」と「やるリスク」をもう少しきちんと捉えていきたいと思っています。従来は「やらないリスク」を取っていた人が「やるリスク」を取れるように、経営トップとしてきちんと方向性を示していきます。

 新年早々の年頭挨拶では、テレビ会議の機能を駆使して全社員に生の声で今後の方向性について伝えるつもりです。どうしようか判断に迷った時には、やった方がいいということを明確に打ち出していきます。

 詳細につきましては、戦略的なことですのでお話できませんが、明確な方向性を示しつつ、やるリスクを取ってトライしてくれたメンバーの思いをマネージャー層が理解し、それを後押しできるようなことを想定しています。その枠組みさえしっかり構築できれば、やらないといけないことは皆わかっている訳ですから全力で取り組んでくれるでしょう。一人ひとりの努力の積み重ねが大きな力になります。

 今年は、「変革への挑戦」に向けた第一歩として、私が先頭に立って皆が「やるリスク」を取れるような仕組みを構築していきます。

【その他の質問】
◎化粧品事業にやや明るい兆し、上期はトータルで順調に推移
――6月下旬の社長就任から5カ月余りが経過しましたが、どのような感想をお持ちですか。
――各事業の状況はいかがでしたか。
◎グローバルで存在感のある会社めざしイノベーションと連動した戦略を推進
――国内外で成長を加速するために、どのような戦略で臨みますか。
◎カネボウ、花王ソフィーナとも15年までにコンセプトを再構築
――カネボウ化粧品も含めた化粧品の構造改革の進捗と今後の方向性をお聞かせ下さい。

【PDFダウンロード】「花王澤田道隆社長インタビュー」はこちら

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